洗濯機の設置に必要な条件は?
こんな場合はどうしたらいい?
防水パンは必要?
冷蔵庫や洗濯機など大型家電の購入の時には機能や性能ももちろんですが、サイズも気になるものですよね。
特に洗濯機は置けるスペースがあるだけじゃあダメっていうのが難しいポイントですね。
こういった不安をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そこで本日は洗濯機を設置する際のチェックポイントについて解説したいと思います。
「給水ホースが入らない」という相談が多いので、動画にしてみました。
洗濯機を設置するための3つの条件
設置のための3つの条件
私が考える洗濯機の設置の条件には大まかに3つのポイントがあります。
①設置場所まで搬入できる
②排水溝に重ならないように設置できる
③蛇口にぶつからない
この3つですね。
それぞれ詳しく解説していきますと・・
①設置場所まで搬入できる
当たり前と思われるかもしれませんが、まずは本体を洗濯機置き場まで運ぶことができるかどうかをチェックする必要があります。
こんな風にお考えの方も多いかもしれませんが、意外とそんなことはないんです。
大容量タイプやドラム式と本体が大きめの商品も多くなってきていますし、そもそも家の間取りにはいろいろなバリエーションがありますからね。
搬入経路と本体サイズの確認
本体幅プラス左右5cmずつのゆとりが理想
せっかく洗濯機置き場が広くても、そこまで運ぶことができなければ設置はできませんね。
そこで搬入経路の確認が必要となります。
人の手で運びますからどうしても本体が揺れます。
左右に少しもブレないように、2人で物を運ぶということはできませんからね。
ほとんどの洗濯機は奥行きよりも幅の方が小さくできています。
ですから、搬入の時に見るべきなのは本体の幅と通路の幅です。
カタログなどでの本体幅をチェックするときはこのような見方になります。
この場合の本体の幅は左の図の上から2番目の数字をみればよくて600mmとなります。
一番上、赤文字の639mmは本体と排水ホースの合計となっています。
本体+排水ホースの幅も重要なのですが、搬入の時にはとりあえず本体の幅でチェックしてOKです。
10cmも余裕がないよ・・という場合も多々あるかと思いますが、それ以下だと搬入できないというわけではありません。
10cmあればほぼほぼOKで、それ以下だと現場での判断になるということもある感じです。
例えば洗面所の扉だけがどうしても少し狭くてギリギリという場合に・・
▶︎縦型などの比較的軽めの洗濯機
▶︎ストレートで通れて段差もない
▶︎ギリギリなのはその一箇所だけ
などの条件であれば現場の判断で搬入するケースが多いかと思います。
逆に
▶︎本体が重い
▶︎扉を通りながら曲がらないといけない
▶︎経路全体がギリギリ
こういった条件が重なると搬入できないっていう判断になることもあります。
購入いただいた商品や家に傷をつけるわけにはいかないですからね。
次は建物ごとにもっと詳しくチェックポイントをお話していきます。
戸建ての場合
宅内まで
「玄関はちょっと狭いから庭の方から・・」こういう風に考えている方もいらっしゃるでしょう。
確かに庭に出るための窓は大きくてゆとりがあるかもしれません。
ですが、その窓までの道のりがもっと大変と言う場合も多いです。
植木や出窓、さらにはエアコンの室外機や給湯器など障害になるものが結構あったりします。
また、ドラム式など本体が重い場合は窓の高さまであげること自体が困難なこともあります。
よほど好条件が揃っていない限りはその他のルートは使わず、玄関からの搬入を考えておくのが無難です。
玄関から設置場所まで
一番注意が必要なのは洗濯機置き場の一個手前の扉ですね。
脱衣所や洗面所の場合が多いかと思いますが、ここだけどうしても通れないということもあります。
洗濯機置き場の幅は結構チェックしてくれる方も多いですが、扉の幅や洗面台との距離も同じくチェックが必要です。
階段を使って2階に設置
2階にリビングがあるお家が増えてきたことに伴い、洗濯機も2階に設置するケースが増えてきました。
その場合は屋内階段を使うことになりますが、やはり屋外階段に比べ幅るとが狭いことも多いです。
お家によってはコの字型やL字型の階段だったり、手すりがついていたりと何かと搬入が難しくなることがあります。
階段内に曲がり角がある場合には本体幅+10cmよりももっと幅が必要になるかもしれません。
集合住宅の場合
宅内まで
階段を使うにしてもエレベーターを使うにしても屋外の共用スペースは少し広めになっていることが多く、搬入の妨げになるものは少ないかと思います。
ただし、想定されていないサイズの洗濯機はエレベーターに乗らなかったり、階段を通れなかったりすることもあります。
例えば・・
▶︎一人暮らしを想定しているアパート
▶︎大型洗濯機がまだない頃の建物
こういった場所では、大型洗濯機を設置することを想定していませんので注意が必要となります。
玄関から設置場所まで
これも基本的には戸建てと同じなのですが、集合住宅の場合はさらにチェックするポイントが増えます。
▶︎玄関の扉の開く角度
▶︎ドアのポスト
集合住宅では玄関の扉が90度くらいまでしか開かない作りも多くなっています。
さらにそこにドアポストがついていると搬入経路がさらに狭くなってしまいますね。
ドアポストは簡単に外せるものが多いですが、だからと行って配送スタッフさんが外してくれるかは別の話です。
事前に取り外し可能か、外してもらえるのかを確認しておくことをおすすめします。
階段を使って2階に設置
マンションやアパートでも屋内階段を使う建物もありますね。
メゾネットタイプの建物や、部屋は2階でも玄関が1階にあるような場合です。
この場合も階段の幅、手すりがあれば手すり部分を覗いた幅をチェックしてください。
ちなみに階段の手すりは外してしまうとネジ穴がゆるくなり、元の強度に戻せない可能性が高いので、基本的に外すことはできません。
以上が搬入経路で特にチェックが必要なポイントとなります。
設置スペースの確認
洗濯機を設置する上で一番わかりにくいのがこの設置スペースの確認です。
洗濯機の設置はただその場所に収まればいいとうわけではなく、給水と排水の取り付けを行って初めて使用することができるようになります。
そこでまずは排水について解説します。
そこで重要なポイントなのですが、
洗濯機と排水溝が重なるように設置することはできません。
洗濯機で排水溝を踏んづけるような置き方はできないと言うことです。
ただし、これは防水パンがあるかないかや防水パンの形状によって事情が変わってきます。
それぞれのケースで設置に使えるスペースを見て見ましょう。
▼防水パンがある場合
防水パンの種類はお家に合わせて様々ですが、よく採用されているのは次の2つとなります。
①長方形でフラットで幅が75cm
ほとんどの洗濯機が設置可能なサイズです。
排水溝の位置が右だったり左だったりするのですが、洗濯機の排水ホースは付け替えが可能で左右どちらからも出すことが可能です。(一部背面に排水ホースがついている機種もあります)
内側がフラットな場合は上に書いたように排水溝に重なるような設置はできません。
平らな部分に本体が収まるように機種を選ぶ必要があります。
幅が75cmの場合はほとんどの機種が設置できますが、サイズは他にもありますのでチェックして見て下さい。
洗濯機と防水パンの隙間はだいたい1cm程度あれば大丈夫です。
②正方形で四隅が高くなっていて64cm四方
こちらも一部のドラム式を除いては設置可能です。
四隅が高くなっている場合は排水溝と洗濯機が重なるような置き方も可能です。
ただし、少し注意しないといけない点があります。
横を少し開けるのは排水ホースを出すスペースを確保するためです。
ドラム式の一部の機種を除いて、洗濯機の排水ホースは必ず一度横(もしくは後ろ)から出します。
横から出して、それから下に潜らせるわけです。
洗濯機の下で直接排水溝と接続することはできませんので排水ホースの太さ(4cm)の分の隙間が必要になります。
直下排水対応のドラム式であれば洗濯機内部にホースをしまったまま排水溝に接続することが可能で、防水パンギリギリまで本体のサイズがあっても大丈夫です。
メーカーホームページで据付説明書が見れますのでご確認下さい。
▼この2つ以外のサイズの場合
間取りによっては上記2種類の防水パンが設置できず、異なるサイズのものが付いていることがあります。
その場合も上記と同様で、
▶︎内部がフラットなら排水溝を除いた空きスペースの幅をチェック
▶︎四隅が高くなっている場合は排水ホースの隙間を残した幅をチェック
となります。
どうしても排水溝に重なる場合
ここまで理想的な設置方法に付いて説明してきましたが、お住いの間取りや洗濯機置き場の広さによって理想通りにできないこともありますよね。
具体的には・・
▶︎防水パンがなくてさらに排水溝を踏んでしまう
▶︎内部がフラットな防水パンで排水溝を踏んでしまう
こういった場合にどうすれば良いかも見てみましょう。
防水パンなしで排水溝を踏んでしまう場合
床に洗濯機を直置きする場合で、排水溝が洗濯機の下に隠れてしまうというケースですね。
まずは床からエルボー(L字のパイプ接続口)が飛び出ているか、排水用の穴が空いているだけかをチェックします。
↓排水エルボーはこんな見た目のものです。
排水エルボーがある場合
基本的には排水エルボーに重ならないように設置するのが鉄則です。
壁からエルボーまでの幅を測って、そこに収まるサイズの洗濯機から選ぶのがベストです。
それでもどうしても重なってしまう場合にはエルボーをまたぐように洗濯機の嵩上げを行わないといけないです。
市販のゴム脚などを使ってエルボーと洗濯機本体が接触しないように設置します。
↓市販の嵩上げ脚
ただし、これはメーカーさん非推奨の方法です。
洗濯機を持ち上げると振動や運転音が大きくなる恐れがあるからですね。
ちなみにメーカー純正の嵩上げ脚などもあるのですが、せいぜい4〜5cmの嵩上げまでの対応となっています。
やはりそれ以上高さをあげるのはよくないということですね。
エルボーは床からだいたい7〜9cm程度の高さがある場合が多いですから、メーカー純正ではなく市販品に頼ることになってしまうわけです。
嵩上げしたことにより本体が蛇口にぶつかる可能性が出てきますので、必ず蛇口の高さもチェックして下さい。
エルボーなしで排水の穴だけある場合
排水の穴がちょうど洗濯機の真下あたりにある場合にはメーカー純正の真下排水キットを使える可能性があります。
↓パナソニック真下排水キットの例
排水ホースを平べったくしたような形状のパイプで、排水ホースの先端に接続して使用します。
ご覧いただくとわかるようにパイプ部分は硬くて曲がりません。
ですから排水溝との距離がちょうどよくないと使うことができないんです。
洗濯機の真下あたりに排水溝があれば問題ないのですが、少しだけ排水溝と重なるといった場合には真下排水キットは適していません。
少しだけ洗濯機と排水溝が重なってしまう場合にはエルボーありの場合同様に洗濯機の嵩上げをすることになります。
だいたい5cm程度上がれば良いので、メーカー純正品でも対応するものがあります。
▼内部がフラットな防水パンで排水溝を踏んでしまう場合
こちらも防水パンなしの時同様の対応となります。
防水パンがある場合には、ほとんどの場合エルボーが付いていると思いますので、嵩上げはさらに難易度が高くなります。
防水パン+嵩上げとなると10近く高さが上がってしまいますから蛇口の高さにはなお一層の注意が必要です。
蛇口の位置を確認
最後は蛇口の高さの確認です。
蛇口の高さと言いましたが、蛇口自体は低くても本体にぶつかりさえしなければOKです。
ただし、下方向固定の蛇口の場合にはホースの根元部分も考慮しないといけません。
蛇口の向きを変えることができる場合は高さはギリギリでOKです。水道の出っ張りが本体や蓋にぶつからないかをチェックして下さい。
先ほどの設置スペースの確認の部分でも書いたのですが、なんらかの事情で嵩上げする場合には必ず蛇口の位置を確認して下さい。
その他に注意が必要なパターンは・・
ココに注意
①すごく久しぶりに洗濯機を買い換える
古い洗濯機は洗濯量量が少ない分、本体がコンパクトだったり背が低いものも多くありました。
同じくらいのつもりで買い換えたら高さが・・ということもありますのでご注意下さい。
②縦型乾燥付きやドラム式に買い換える
乾燥付き洗濯機やドラム式洗濯機はヒーターが内臓される分どうしても背が高くなってしまいます。
ファミリータイプの乾燥なし洗濯機の高さがだいたい90cm前後なのに対し、縦型乾燥付き洗濯機やドラム式洗濯は100cm前後のものが多くなっています。
③一枚蓋の洗濯機の購入
最近の縦型洗濯機の中には蓋が2つ折にならないモデルも増えてきました。
デザインやお手入れのしやすさのためなのですが、場合によっては蓋と蛇口がぶつかることがあるのでご注意下さい。
特に洗濯乾燥機には一枚ふたのモデルが増えています。
以上が洗濯機の設置における主なチェックポイントとなります。最後に少しよくあるにお答えしておきたいと思います。
よくある質問①
防水パンって何? 一緒に買った方がいい?
このページで何度も登場した防水パンですが、そもそも何のためにあるのでしょうか。
防水パンとは?
▼防水パンの役割
防水パンはパン内部に排水溝を備えているものです。
万が一地震や洗濯機の故障で水漏れしてしまった時に水を排水溝に集める役割があります。
▼洗濯機と一緒に防水パンも買った方がいいの?
防水パンは洗濯機の付属品ではなく、家の設備の一つです。
残念ながら手軽に取り付けることができるものではありません。
取り付けるためには床板をはがしたり、穴を開けたりして排水溝と排水パイプの位置を合わせたりする工事が必要となり、基本的にはリフォーム屋さんや工務店さんに依頼する内容となっています。
万一の水漏れに備えて、集合住宅の2階以上には設置されていることが多いです。
戸建の場合は半々程度でしょうか。
防水パンがあると設置できる洗濯機が制限される場合も多くなりますので、新築の戸建などでもついていないこともあります。
防水パンは洗濯機のためにあるわけではなく、家を守るためにあるということですね。
▼ホームセンターとかで売ってるやつは?
防水パンの他に防水トレイというものがあります。
こういったものなのですが、ご覧いただくとわかるように排水溝が無いんですね。
ですから、もともとある排水溝を避けて設置する必要があり、結構場所をとります。
床が汚れることを防いだり、水滴程度なら防水できますが、水漏れとなるとトレイから溢れてしまうわけです。
防水パンよりも手軽に導入できる分水漏れには対応していませんので使うかどうかは判断が別れるところです。
よくある質問②
自分で設置したいんだけど・・
お引越しやお急ぎでの買い替えなど、自分で取り付けを行いということもあるかと思います。
洗濯機の設置作業は難しい作業や技術が必要なわけではありません。
ですが、このページをご覧いただくとわかるように結構注意しないといけないことがあります。
できれば専門の方に依頼した方が良いかと思います。
簡単な作業でも初めてだとわからないことも多いですからね。ちなみに自分で設置できなかった中で多いお問い合わせは給水ホースがつかないというものです。
蛇口に押し込むように取り付けしようとする失敗が多いです。
ツバの部分を引っ張りながらでないと接続できません。
あとは給水接ぎ手やジョイントと言われるものがあるのですが、これも使う場合と使わない場合があります。
蛇口自体が最初からこの形状になっていることもあり、その場合はこの継ぎ手のパーツは使わないんですね。
こう言った判断は慣れが必要です。
その他にも排水ホースの左右の付け替えなどもそれなりに大変です。
ということで自分での取り付けはあまりおすすめではありません。
水漏れが起きてしまうと家への被害が大きいですし、集合住宅の場合は他のお部屋まで被害がでてしまうこともありますからね。
その他の注意点
ドラム式の扉の開き
ドラム式の洗濯機には扉の開きを右開きか左開きかを選ぶことができるモデルがあります。
●ドラム式の扉の開き方
正面に向かい合ってたった時に
左開き
→右から左に開く。左がくっついている方。
右開き
→左から右に開く。右がくっついている方。
このようになります。
店頭の展示やメーカーサイトの写真はほぼ左開きですね。
下の図も左がヒンジでくっついているので、左開きとなります。
基本的に右利きの場合は左開きの方がドアを開閉しやすく、多くの方が左開きを購入します。
ですが、洗濯機と壁の位置関係によっては逆の方がスペースを広く使えることもあります。
一般的に、壁とドアの間に挟まれるような配置よりは、壁とドアを同じ方向に揃えた方が出し入れがしやすいかと思います。
注意点としてはドアを全開にした場合に本体側面よりもドアの方が外側に出っぱるということです。
壁に寄せすぎると壁とドアがぶつかってしまいます。
ドアはそんなに勢いよく開くわけではないので気をつければ大丈夫ですが、壁に傷をつけてしまわないか心配だという方はドアの向きもチェックして見て下さい。
思った以上に長くなりましたが以上が洗濯機設置の際のチェックポイントとなります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。