では早速、本日のテーマはこちら。
価格の高いエアコンと安いエアコンは何が違う?
この内容でお届けしたいと思います。
家電の中でもトップクラスに選ぶのが難しいものの1つがエアコンなんじゃないかと思います。
サイズを決めて・・
メーカーもどことなく絞れて・・
それでようやく決まるかと思いきや
1つのメーカーから何種類も発売されていて、また悩んでしまうようなこともあるんじゃないですかね。
とりあえずお目当てのメーカーのものを見渡してみても・・
10万円そこそこのものもあれば、20万円を大きく超えるようなものまで用意されています。
同じメーカー・同じサイズでも、2倍以上の価格の開きがあるわけです。
そこで、よくあるお問合せがこちら。
「価格の高いエアコンと、安いエアコンは何が違うんですか?」
今日はこの質問にお答えしていきたいと思います。
価格は大まかに3段階
じゃあまず最初に、エアコンを価格帯別にざっくり3段階に分けておきたいと思います。
エアコンは購入時期によって大きく価格が変わりますし、サイズによっても価格は変わります。
ですから、高いエアコン、安いエアコンというのが、具体的にどのモデルを指すのかを示しておきます。
一応、表にまとめるとこんな感じになります。
ちなみに、この区分は私の主観が多めに入っています。
上に行くほど価格が高いモデルとなります。
▶︎太字が各価格帯の主力モデル
▶︎白背景はあんまり注目されない影が薄いモデル
という感じです。
違いは省エネ性と冷暖房能力
それじゃあ、本題の高めのモデルとお手頃なモデルの違いを見ていきましょう。
高めのモデルとお手頃のモデルは、もう何もかもが違うっていうくらい違うんですけど、
どのメーカーも共通して言えるのは・・
▶︎電気代
▶︎冷暖房能力
です。
他に、メーカーによってバラ付きはあるものの・・
▶︎清潔性
▶︎快適・便利機能
▶︎気流制御
などが違ったりするケースもあります。
違い①
電気代の違い
じゃあ、それぞれの項目をもう少し詳しく見ていきましょう。
まずは、多くの方が気になるであろう電気代からチェックします。
例として、三菱の4.0kWモデル(冷房時主に14畳)で比べてみましょう。
価格高めモデルの例
価格お手頃モデルの例
年間電気代の目安 | 省エネ基準達成率 | 他段階評価 | |
高め MSZ-ZW4023S |
29,600円 | 104% | ★×3.6 |
お手頃 MSZ-ZW4023S |
41,700円 | 74% | ★×1.0 |
このように、価格が高めのモデルの方が、年間で約12,000円ほど電気代が安く済むようです。
エアコンの買い替えサイクルである10年で考えた場合、12万円ほど電気代で差が付くことになります。
本体価格と10年使った場合の電気代の合計はこんな感じになります。
高め ZW4023S | お手頃 | |
価格目安 | 315,000円 | 160,000円 |
10年の電気代 | 296,000円 | 417,000円 |
合計 | 611,000円 | 577,000円 |
購入時の価格差を回収できるとこまでは届かないですね。
とはいえ、最終的なコストの差は4万円程度に収まり、その他の装備の差を考えれば高めのモデルの方がお得感はあるように思います。
ただし、この金額は・・
大まかに夏4.5ヶ月 冬5ヶ月 1日18時間使った場合のものです。
補足ですが、コストのことを考えるなら、購入時期に気を付ける方がずっと効果が大きい場合が多いです。
エアコンは購入する時期によって大きく価格が変わるので、購入するタイミング次第では元が取れることもあるかもしれません。
ということで・・
省エネモデルを買ったからと言って、必ずしもトータルコストが安く済むわけではない
ということがわかりました。
となると、「高いの買う意味ないじゃん」みたいに考える方も多いかもしれないですね。
ですが、これだけで決めるのは気が早いかもしれません。
違い②
冷暖房能力の違い
それではもう一つの違い"冷暖房能力"についてチェックしてみましょう。
能力っていうのは、冷やしたり温めたりするパワーのことと思ってもらえればOKです。
冷房能力 | 暖房能力 | 低温暖房能力 | |
高め MSZ-ZW4023S |
0.4〜5.3 | 0.4〜11.3 | 8.2 |
お手頃 MSZ-ZW4023S |
0.8〜4.3 | 0.8〜7.3 | 5.3 |
このようになります。
冷房の最大値で比べると・・
価格高めが5.3に対してお手頃が4.3と、2割程度の差があることがわかります。
暖房の場合はさらに差が大きくなり・・
価格高めが11.3に対してお手頃が7.3と、3割強ほどの違いとなります。
暖房の場合は、最大値よりもよく低温暖房能力の値が使われるんですけど、こちらも
価格高めが8.2に対して、お手頃が5.3と、同じく3割強の違いとなります。
能力値で比べた場合・・
最大冷房 | 低温暖房 | |
高めZW 4023S | 5.3 | 8.2 |
お手頃 GE4023S | 4.3 | 5.3 |
差 | 1 | 2.9 |
冷房最大値なら1kW
低温暖房能力では2.9kW
価格高めのモデルの方が強いということになります。
参考
2.9kWの違いがどれくらいか? っていうのは難しいんですけど・・
▶︎一番小さいクラスの石油ファンヒーターで1台分
▶︎オイルヒーターなら2台分
くらいの暖かさの違いといったところでしょうか。
そんなわけで、価格の高いエアコンとお手頃なエアコンは、冷暖房のパワー、特に暖房のパワーに大きな違いがあるということがわかりました。
必要なパワーは、お住まいの環境や取り付ける部屋、使い方次第というところはあるんですけど、大まかにいうなら、エアコンだけで暖房する場合は価格高めがおすすめとなります。
ここで少し余談なんですけど・・
最近はスマホが普及したことにより、ネットでいろいろな情報が出回っています。
エアコンを見に来るお客様の中にも、能力の最大値や低温暖房に注目する方が増えたように思います。
確かにこれらの数値はわかりやすいですし、便利なので私もよく使います。
ですが、これだけでは必要な情報の半分にしかなりません。
残り半分は、基本中の基本である畳数の数値です。
主に14畳用とかのあれです。
ここでは詳しくは説明しませんが、何畳用なのかも、最大値や低温暖房能力と同じくらい大事ということは覚えていていただければと思います。
じゃあ、話を戻します。
価格の高いエアコンと、手頃なエアコンでは・・
電気代の他に冷暖房のパワー、特に暖房のパワーが違うということをお伝えしました。
ただ、これだけではまた別の誤解が生まれる心配があります。
というのも、価格を上げれば省エネ性やパワーが上がるとはならないパターンもあるからです。
中間価格との違い
では次は、中間価格のモデルも加えて比較して見ましょう。
省エネ達成率 年間電気代目安 |
冷房能力 | 暖房能力 | 低温暖房能力 | |
高め MSZ-ZW4023S |
106% 29,600円 |
0.4〜5.3 | 0.4〜11.3 | 8.2 |
中間 MSZ- R4023S |
74% 41,700円 |
0.8〜4.3 | 0.8〜7.3 | 5.3 |
お手頃 MSZ-ZW4023S |
41,700円 | 0.8〜4.3 | 0.8〜7.3 | 5.3 |
このように、中間価格とお手頃価格を並べると、省エネ性や冷暖房能力は全く同じになります。
もちろん、特徴に全く違いがないということではありません。
中間グレードは、どのメーカーも共通でフィルター自動お掃除機能が加わりますし、メーカーによっては清潔性がアップしたり、その他の便利・快適機能が追加されたりすることもあります。
ですが、お手頃モデルから中間価格へというように価格を上げたとしても、省エネ性能や冷暖房能力が上がるわけではないんですね。
お手頃価格から中間価格へのアップグレードは・・
性能が上がるわけではなく、機能が増えるというイメージです。
少しおさらい
ここまでを一旦整理します。
お手頃価格から中間価格モデルにアップグレードした場合
→省エネ性能や冷暖房性能は同じだけど、機能が増える
中間価格から高めのモデルにアップグレードした場合
→機能が増えるだけでなく省エネ性能や冷暖房性能が大きく向上する
と、このような変化となります。
表にまとめると、大体こんなイメージですね。
価格 | 省エネ性 | 冷暖房能力 | フィルター自動掃除 |
高め | ◎ | ◎ | あり |
大きな性能差 | |||
中間 | △ | △ | あり |
お手頃 | △ | △ | なし |
省エネ性能や冷暖房性能は、高めのモデルと中間以下のモデルで大きな差が付きます。
高い省エネ性能やパワフルな冷暖房性能が望めるのは、価格高めのモデルだけという格好ですね。
先ほどお伝えしたように、特に大きな差がつくのは暖房能力の部分なのです。
高めのエアコンを買うか、そうでなくてもいいのかは、求める暖房性能次第というところですかね。
地域にもよるかと思いますが・・
ファンヒーターを使っていて、それをやめたいとなった場合は、残念ながら価格高めのモデルが最有力候補ということになります。
まぁ、それか寒冷地仕様ですかね。
寒冷地仕様もあるけど・・
ただし、寒冷地仕様は寒冷地仕様で悩ましい点もあります。
価格高めモデルよりも暖房能力に優れた寒冷地モデルは、本体価格も高くなりますし、省エネ性能が少し悪化します。
価格高めモデル用りも手頃な寒冷地使用モデルは、寒冷地仕様でありながら価格高めモデルほどの暖房能力はありませんし、省エネ性能も悪化します。
曖昧な表現で申し訳ないですが、表にするとこんな感じです。
寒冷地仕様ではない普通のエアコンは、一般地仕様と表記されることが多いので、それに倣います。
↑価格↓ | 価格 | 暖房性能 | 省エネ性能 |
寒冷地高め | 最高 | 最高 | 高い |
一般地高め | 高め | 十分強い | 最高 |
寒冷中間 | 高めよりの中間 | そこそこ強い | 中間 |
一般地中間 | 中間 | イマイチ | イマイチ |
このように一般地仕様の価格高めのモデルは・・
▶︎暖房も十分強く
▶︎省エネ性能は最高
▶︎それでいて価格は寒冷地使用の高めモデルほど高価というわけでもない
という具合に、かなりバランスが良いんですよね。
そんなわけで、個人的には積雪が多い地域でなければ、一般地使用の価格高めモデルをおすすめしています。
まとめ
じゃあ、最後に簡単にまとめておきます。
▶︎価格の高いエアコンと、手頃なエアコンは省エネ性能と冷暖房能力が違います。
▶︎特に暖房の能力に大きな差が出ます。
▶︎価格を上げたからといって、性能が上がるとは限らないこともあるのでご注意ください。
こんなところでしょうか。
本当は、お手頃から中間価格にアップグレードした場合にどんな違いがあるのかをメーカーごとに紹介したかったのですが、長くなってしまったのでまたの機会にしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば嬉しく思います。