電気暖房のご案内している際によくある質問の1つとして
「どれくらい暖かいですか?」
というものがあります。
確かに、使ったことがないとイメージしにくいですよね。
ということでこのページでは・・
▶︎カーボン・グラファイト・シーズ
▶︎温風ヒーター
▶︎オイルヒーター
3種の暖かさの違いや範囲の違いを紹介しつつ
・コロナのコアヒート
・ダイソンのホットアンドクール
2モデルを使った時の室温の変化テストの結果
もご覧いただきたいと思います。
縦長タイプ(カーボン・グラファイト・シーズ)
ではまず見た目が縦長のモデルから紹介します。
縦長のタイプには・・
▶︎カーボンヒーター
▶︎グラファイトヒーター
▶︎シーズヒーター
この3つの種類があります。
このページでは3つまとめて縦長タイプと呼ぶことにします。
縦長タイプの特徴
カーボン・グラファイト・シーズはどれも共通して
目の前を集中的に暖める
という特徴があります。
「部屋は暖かくならず、人を直接暖める」と説明されることもあります。
まぁ、これだけではイメージしにくいと思うので、手持ちのシーズヒーターでテストしてみました。
コロナ コアヒートでテスト
壁に室温計を設置して、温度がどう変化するのか見ていきたいと思います。
使ったのはコロナのコアヒート
現在販売中のモデルで言えばこれが近いです。
壁に60cm間隔で室温計を設置し、約1mの距離でコアヒートをパワー5で運転します。
コアヒート 開始前
開始前の室温は約15度。
コアヒート 5分後
開始5分で正面の室温計の温度が5℃上昇しました。
コアヒート 20分後
20分経つ頃には正面の室温計は36℃に達しています。
コアヒート 1時間後
1時間後には正面が43℃まで上昇しましたが、1つ隣と2つ隣はほとんど温度が変わりませんでした。
時間ごとの温度を表にまとめるとこうなります。
正面 | 1つ隣 | 2つ隣 | |
開始前 | 15℃ | 16℃ | 13℃ |
5分後 | 20℃ | 16℃ | 13℃ |
20分後 | 36℃ | 18℃ | 14℃ |
1時間後 | 43℃ | 20℃ | 15℃ |
暖かいのは正面だけという感じですね。
コアヒート 室温の変化
部屋(コンクリート・6畳)の中央付近に置いた温度計の履歴データはこうなりました。
1時間運転して2℃上昇ですから、部屋の暖房効果は期待できませんね。
やはり、正面を集中的に暖めるのが得意なようです。
カーボン・グラファイト・シーズヒーターの違い
縦長タイプは「部屋はほとんど暖まらず、正面を集中的に暖める」という点は同じです。
何が違うのかと言えば、暖かくなるまでのスピードです。
カーボン・グラファイトは運転オンですぐに暖かさを感じることができますが、シーズは5分くらいかかります。
縦長タイプのメリット・デメリット
縦長タイプのメリット・デメリットは次のようになります。
運転音がほぼないので、夜間1人で静かに過ごしたいといった時に使い勝手が良いです。
温風ヒーター(セラミックファンヒーター)
次は温風タイプの特徴をお伝えします。
縦長タイプでは本体正面付近しか温まらなかったのに対して
温風タイプは・・
▶︎温風にあたっていれば暖かいのはもちろん
▶︎本体周囲もある程度暖かい
という特徴があります。
狭い部屋で・締め切ったまま・長い時間運転すれば部屋の暖房にも使えます。
温風ヒーター 部屋の広さの目安
暖房できる部屋の広さの目安はこれくらいです。
木造 | コンクリート | |
断熱材なし | 3 | 4.5 |
断熱材50mm | 6 | 8 |
建物の種類と断熱の有無で変わり、3~8畳となっています。
これもどれくらいの暖かさなのか実際に試してみました。
ダイソン ホットアンドクールでテスト
使ったのはダイソンのホットアンドクールHP02です。
ホットアンドクール 開始前
コアヒートの時と同じ条件で運転を開始します。
開始時の室温は約15℃となっています。
ホットアンドクール 5分後
正面は5分で8℃上昇と、コアヒートよりも早く暖まっています。
ホットアンドクール 20分後
20後には正面が29℃まで上昇したほか、1つとなりも22℃まで上昇しています。
ホットアンドクール 1時間後
1時間後には正面が30℃を越え、2つ隣も20℃を越えました。
こちらも時間ごとの温度変化を表にまとめました。
正面 | 1つ隣 | 2つ隣 | |
開始前 | 15℃ | 15℃ | 14℃ |
5分後 | 23℃ | 18℃ | 15℃ |
20分後 | 29℃ | 22℃ | 16℃ |
1時間後 | 32℃ | 25℃ | 21℃ |
正面の温度はコアヒートには及ばないものの、ホットアンドクールは2つ隣も温度が上昇しています。
ホットアンドクール 室温の変化
部屋(コンクリート・6畳)の中央付近に置いた室温計の履歴はこうなりました。
コアヒートは2℃上昇に留まったのに対し、ホットアンドクールは4℃上昇しています。
部屋を暖めたい場合は、温風ヒーターの方が適しているようです。
コアヒート・ホットアンドクールを比較
コアヒート(シーズ)とホットアンドクール(温風)の温度変化の表を並べてみます。
コアヒート | 正面 | 1つ隣 | 2つ隣 |
開始前 | 15℃ | 16℃ | 13℃ |
5分後 | 20℃ | 16℃ | 13℃ |
20分後 | 36℃ | 18℃ | 14℃ |
1時間後 | 43℃ | 20℃ | 15℃ |
ホットアンドクール | 正面 | 1つ隣 | 2つ隣 |
開始前 | 15℃ | 15℃ | 14℃ |
5分後 | 23℃ | 18℃ | 15℃ |
20分後 | 29℃ | 22℃ | 16℃ |
1時間後 | 32℃ | 25℃ | 21℃ |
▶︎20分を越えてくると、正面は断然コアヒートが暖かい
▶︎周りも暖かくなるのはホットアンドクール
という結果となりました。
温風ヒーターのメリット・デメリット
温風ヒーターは時間をかければ周囲も暖まるので、キッチンや脱衣所などに採用されるケースが多いです。
オイルヒーター
最後はオイルヒーターです。
オイルヒーター 部屋の広さの目安
オイルヒーターには主に1200Wタイプ・1500Wタイプの2種類があります。
1200Wタイプの暖房できる部屋の広さの目安は温風ヒーターと同じです。
木造 | コンクリート | |
断熱材なし | 3 | 4.5 |
断熱材50mm | 6 | 8 |
独自基準を採用するメーカーも
デロンギなどのオイルヒーターには、上記の畳数の目安よりも広い畳数を表示しているものもあります。
例えば上の画像のモデルでは「広さの目安8〜10畳」となっています。
これは"左の8畳がコンクリートで断熱材あり"の場合の目安が使われていて、"右の10畳"はデロンギの自主基準となっています。
エアコンの畳数表記(左が木造・右がコンクリート)とは見方が異なるので、注意が必要です。
オイルヒーター 暖かさのイメージ
オイルヒーターは本体周囲の空気や床・壁を少しずつ暖めます。
縦長タイプや温風タイプよりは暖めが遅いですが、暖まる範囲は広いです。
もし「エアコンも石油ファンヒーターも使えない」という状況で、部屋の暖房として使うというケースであればオイルヒーターが候補となります。
オイルヒーターのメリット・デメリット
オイルヒーターは・・
○暖まる範囲が広い
○運転音が静か
というメリットがありますが・・
×暖まるのが遅い
×条件や環境次第では暖かさを感じにくい
というデメリットがあります。
本体が大きく価格も高いことから、「オイルヒーターがあれば部屋が十分暖まる」と考える人も多いです。
ですが、オイルヒーターも電気暖房の1種。
オイルヒーターだけ特別暖房能力が高いということはありませんので注意が必要です。
部屋の乾燥について
「オイルヒーターは空気が乾燥しにくい」という説明を時々見かけますが、これも注意が必要です。
オイルヒーターは温風が出ませんので、「風にあたって乾燥する」ということは起こりにくいです。
ですが、室温が上昇すると部屋の空気は乾燥します。
(部屋の温度が上昇すると飽和水蒸気量が増え、相対湿度が低下します。)
エアコンや温風ヒーターと比べた場合、「温風が当たらないだけマシ」というくらいのものです。
「オイルヒーターだから加湿器はいらない」ということにはなりませんのでご注意ください。
石油ファンヒーターは乾燥しにくい
エアコンであれオイルヒーターであれ室温が上昇すると空気の乾燥を感じますが、石油ファンヒーターは少し事情が違います。
灯油を燃焼させた場合、燃焼によって水分が発生します。
灯油1リットルを燃焼させると、水1リットルが発生すると言われています。
オイルヒーターの電気代
「オイルヒーターは電気代が高い」という話もよく耳にしますね。
デロンギのサイトにはこんな説明が載っていました。
手短に言えば、「他の電気暖房と同じ程度」ということらしいです。
まぁ、電気を熱に変えているわけですから、当たり前とも言えます。
ただし、暖まり方の特性上、運転時間が長くなる傾向はあると思います。
長時間使えば当然電気代は高くなりますので注意が必要です。
電気代が同じなら暖かさも同じでは?
「同じ温度にするのに必要な熱エネルギーは同じ」ということから、オイルヒーターだけが特別暖かいわけではないことも再確認できますね。
やはり、オイルヒーターに大きな期待は禁物です。
まとめ
最後に軽くおさらいしておきましょう。
▶︎縦長タイプは正面を集中的に暖める
▶︎温風タイプは周囲もある程度温める
▶︎オイルヒーターは範囲は広いけど、その分遅い
▶︎どのタイプも電気を使った分だけ暖まる
こんなところでしょうか。
以上、電気暖房のテスト結果と特徴解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。