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【実は倍速が最重要】家電店の店員がテレビの"倍速"についてわかりやすく解説

 
この記事を書いた人: 「白物家電ブログ)」管理人

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新しいリビング用のテレビを探していると、ふと目にする「倍速」という言葉。

「これって、あった方がいいのかな?」
「倍速があるテレビは価格も上がるけど、それだけの価値ってあるんだろうか?」

きっと、そんな疑問や迷いを抱いている方も、少なくないと思います。

この記事では、そういった疑問について、少し違う角度から考えるための「判断材料」を共有できればと考えています。

長年、家電店の現場でお客様と向き合ってきた経験から、「倍速」という言葉の裏にある、もっと大切なことについてお話しさせてください。

イヲ
イヲ

あ、わたしも“倍速”って言葉だけ聞いたことあったけど、何か特別な再生機能?って思ってました…。
画質に関係あるんだ…!

そもそも「倍速」って何?――言葉の基本を、まずはおさらい

まずは、言葉の基本的なところから、一緒に確認していきましょう。

テレビにおける「倍速」とは、テレビ放送など(1秒間に約30コマ)の映像のコマとコマの間に、テレビが賢く「中間映像」を自動で作り出し、1秒間に120コマで表示する技術を指します。

このおかげで、動きの速い映像の残像がぐっと減って、クッキリ滑らかに見える。そういう仕組みなんですね。

🧠 ユエリの補足(用語解説ボックス) 📦 補間技術とは?
補間(ほかん)とは、映像のコマとコマの間に、存在しない「中間映像」をAIや専用エンジンで“推測して作り出す”処理のことです。

例えば、テレビ放送(1秒間に約30コマ)の場合、まずコマとコマの間に1つの中間映像を作り出し、1秒間に60コマの映像にします。

その上で、人間の目には認識できないほどの速さで黒い画面を挟み込むなどの技術を使い、1秒間に120回画面を更新(120Hz駆動)することで、残像感をさらに減らしているのです。
この「中間映像を作り出す」精度こそが、各社の技術力の見せ所となります。

ユエリ
ユエリ

イヲ
イヲ

なるほど!“足りない部分をうまく埋める”ってことなんだね。
え、じゃあ全部のテレビがそうなってるわけじゃないの?

【ちょっと注意】PCモニターの「120Hz」とは意味合いが異なります

よく混同されがちなのですが、PCモニターはPCから出力される120コマの映像をそのまま表示できます。
でもテレビの場合は、元の映像を「補間(作り出す)」している、という点が大きく違うんです。
ですから、この「補間」をいかに上手に行うかが、メーカーの腕の見せ所にもなっています。

イヲ
イヲ

「え、同じ“120”って数字でも、中身が全然違うんだ…! ゲーム用モニターとは別物ってことかぁ」

実際、テレビ業界で「倍速」と言えば「補間処理のこと」を指しますが、PCモニターでは「実際に受信できるフレーム数」を指す場合が多いです。同じ数値でも意味が違うので、購入時は注意が必要です。

ユエリ
ユエリ

なぜ「倍速」の話が重要なのか?

そして、ここからが一番大事な話かもしれませんね。

「倍速機能が欲しいですか?」という質問は、実は「自分は、どのクラスのテレビを検討しているんだろう?」という、より大きな考え事と繋がっていることが多いんです。

なぜかというと、現在のテレビ市場では、倍速機能は「中位クラス以上の高画質モデルにのみ搭載される証」のような存在になっているからなんですね。

イヲ
イヲ

“倍速”って、機能の話じゃなくて、そのテレビがどんな立ち位置にいるのかを知るヒントになるんだね!

具体的に見る―REGZAシリーズのケーススタディ

イヲ
イヲ

ここからは、実際のテレビのシリーズを見ながら、『倍速があるのとないのとで、何が違うの?』っていうのを、もっと具体的に見ていくパートだね!
分かりやすい例、お願いしまーす!

では、人気のREGZA(2025年現行モデル)の液晶テレビラインナップを、もう少し詳しく見てみましょうか。

シリーズ (グレード)倍速の有無サイズ展開 (インチ)主な画質機能主な音質機能
Z970R (ハイエンド)あり75, 65ファインMini LED+量子ドット、レグザエンジンZR重低音立体音響システムZ (13スピーカー)
Z875R / Z870R (アッパーミドル)あり75, 65, 55 / 50, 43高輝度Mini LED、レグザエンジンZR重低音立体音響システムZ (11スピーカー)
Z770R (アッパーミドル)あり65, 55Mini LED、レグザエンジンZR重低音立体音響システムZ (7スピーカー)
Z670R (ミドル)あり50, 43全面直下高輝度LED+量子ドット、レグザエンジンZR重低音立体音響システムZ (6スピーカー)
E670R (ミドルエントリー)あり50, 43全面直下高輝度LED、レグザエンジンZR重低音立体音響システムZ (Dolby Atmos対応)
M550R / E350R (エントリー4K)なし50, 43 / 55, 50全面直下LED、レグザエンジンZRレグザパワーオーディオシステム
V35N (パーソナル)なし (フルHD)40, 32, 24-レグザパワーオーディオ

この表から、いくつかの大事なことが見えてきます。

まず、リビング向けと言える4Kモデルの中で、倍速機能がないのはMシリーズやE350Rシリーズまでだということです。 E670Rシリーズから上は、すべて倍速機能が標準搭載されていますね。

ここが、REGZAにおける最初の大きな「境界線」です。

そして、ここからがさらに重要なポイントです。 倍速機能は、高画質・高音質の「土台」なんです。

もう一度、表を見てみてください。

画質について
倍速が搭載されるE670R/Z670Rシリーズから、画面を均一に明るくできる「全面直下高輝度LED」になり、Z770Rシリーズ以上では、さらに格段に綺麗な「Mini LED」へと進化していきます。

音質について
こちらも同じです。倍速搭載モデルであるE670Rシリーズになると、立体的で迫力のある「重低音立体音響システムZ」が基本になり、上位機種になるほどスピーカーの数が増えて、音の臨場感がどんどん増していきます。

イヲ
イヲ

なるほどー!ただ動きが滑らかになるだけじゃないんだね!倍速がついてるってことは、もうその時点で画質や音の基本性能もちゃんとしてる、っていう目印になるんだ!

その通りです。倍速機能は、メーカーが「ここからが、私たちの本気です」と示す品質のベースライン。
その土台の上に、さらなる高画質技術や高音質技術が積み上げられていく、と捉えると分かりやすいでしょう。

ユエリ
ユエリ

具体的なステップ

では、ここまでの話を元に、ご自身の使い方だとどうなるか、一緒に考えてみましょうか。

1. まずは「サイズ」と「場所」から

寝室用の43インチ以下を探している場合

この場合は、倍速の優先度は低いと言えるでしょう。
というのも、このサイズ帯には、そもそも倍速搭載モデルがほとんど存在しないからですね。
ここは価格を優先して、好きなモデルを選ぶのが合理的かもしれません。

リビング用の55インチ以上を探しているなら

こちらは、倍速搭載モデルを軸に検討すると、満足度は高くなる傾向にあります。
大画面になるほど、映像の粗さや残像はどうしても目立ちやすくなりますからね。

2. 次に「どんな番組を見るか」

サッカーなどのスポーツ、動きの速いアニメやアクション映画が中心なら、こういった映像では、倍速の有無が満足度に繋がりやすいです。

ボールやキャラクターの動きがクッキリ見える体験は、多くの方にとって価値を感じる部分だと思います。

ニュースやドラマ、バラエティが中心なら、正直に言うと、倍速の恩恵は比較的少ない場合もあります。

ただし、例えばバラエティであっても、街ブラロケのように、カメラマンが移動するようなシーンでは倍速の効果を感じられる可能性は高いです。

加えて、「倍速なしのモデルを選ぶということは、画質の基本グレードもエントリークラスになる」という点は、少し頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。

3. 最後に「ゲーム」について

ゲーマーの方なら、最新のゲーム機(PS5など)を繋ぐ場合、重要なのは「120p入力対応」と「ゲームモード」です。

面白いことに、ゲームモード中は遅延を減らすために倍速機能(補間)はOFFになることが多いんです

しかし、120p入力に対応しているテレビは、必然的に倍速搭載の上位モデルになります。

結果として、ゲームを良い環境で楽しみたいなら、倍速搭載モデルを選ぶことになる、というわけです。

(結論)「倍速」は機能名ではなく、テレビ選びの「地図」なんです

ここまで見てくると、「倍速が必要か、不要か」という二択の議論から、少し視点が変わってきたのではないでしょうか。

「倍速」とは、あなたがテレビ選びの広大な地図の中で、どのエリア(グレード)を旅しているのかを示す「現在地」のようなものといえるかもしれません。

あなたがもし、リビングで家族と、あるいは一人で、「良い映像体験」をしたいと願うなら、あなたは知らず知らずのうちに「倍速搭載エリア」に足を踏み入れているはずです。

この記事が、あなたがご自身の頭で考え、自信を持って一台にたどり着くための、何か少しでもヒントになれば、とても嬉しく思います。

イヲ
イヲ

“必要かどうか”より、“どう付き合うか”が大事なんだね。倍速って、思ってたより奥が深い〜!

【参考:具体的なモデルの例】

ご自身の使い方に合わせて、具体的なモデルをいくつかご紹介しますね。

▼画質とコストのバランスを重視するなら REGZA Z670Rシリーズ

「倍速あり」の世界の、ひとつの基準となるモデルです。
心臓部である高画質エンジン「レグザエンジンZR」と量子ドット技術のおかげで、多くの方にとって満足度の高い選択肢になりやすい一台と言えます。


▼より豊かな映像体験を求めるなら SONY BRAVIA 9 (XR90シリーズ)

ソニーの液晶テレビにおける2024年のフラッグシップモデルです。
「倍速」はもちろん、進化した「Mini LED」と、賢い頭脳である「認知特性プロセッサーXR」を搭載。
これまでのテレビとは一線を画す輝度とコントラスト表現が魅力です。
映画やライブ映像を最高の環境で楽しみたいのであれば、現在最も満足度の高い選択肢の一つです。


▼ゲームも高画質で楽しみたいなら SONY BRAVIA 7 (XR70シリーズ)

PS5との連携機能も充実した、ゲーム好きからの評価も高い2024年のハイパフォーマンスモデルです。「BRAVIA 9」と同じく「Mini LED」と「認知特性プロセッサーXR」を搭載し、4K/120p入力にももちろん対応。普段のテレビ視聴でも非常に高い性能を発揮する、画質とゲーム性能を両立したバランスの取れた一台です。

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