冬の乾燥対策に欠かせない加湿器。中でも、象印のスチーム式加湿器は「手入れが楽で清潔」と長年多くの方に選ばれ続けています。
しかし、いざ選ぼうとすると「たくさんモデルがあって、どれが自分に合うのかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、象印のスチーム式加湿器について、その魅力と知っておきたいポイント、シリーズごとのコンセプトの違いや、各モデルの具体的な性能を整理しています。
この記事を読めば、あなたの暮らしに最適な一台がきっと見つかるはずです。
目次
なぜ象印は「スチーム式」?知っておきたい3つの共通の魅力
象印の加湿器は、すべて「スチーム式」という方式を採用しています。
これは、電気ポットの技術を応用し、水を一度沸騰させて清潔な蒸気で加湿する仕組みです。
まずは、どのモデルにも共通する3つの大きな魅力をご紹介します。
1. 沸騰させるからこその「清潔性」

スチーム式の一番の魅力は、衛生面の安心感です。
タンク内の水をヒーターで100℃に加熱するため、水に含まれる可能性のある雑菌の繁殖を抑えます。
また、ほんのりと暖かい湯気が出る点もスチーム式が好まれるポイントとなっています。(気化式や超音波式はやや冷たくスースー感じます)
2. お手入れが簡単な「ポット構造」

加湿器のお手入れは悩みの種ですが、象印の加湿器はフィルターが不要なシンプルな「ポット構造」を採用しています。
広口でフッ素加工が施された容器は汚れがつきにくく、給水やお手入れがとても簡単です。
3. もしもの時も安心な「トリプル安心設計」
スチーム式は熱い蒸気が出るため安全性が気になりますが、象印の加湿器は吹き出す蒸気の温度を約65℃まで抑える工夫がされています。
さらに、全モデルに以下の「トリプル安心設計」が標準搭載されており、万が一の時にも備えられています。
- チャイルドロック: お子様の誤操作を防ぎます。
- ふた開閉ロック: 転倒時にふたが開きにくい構造です。
- 転倒湯もれ防止構造: 本体が倒れてもお湯がこぼれ出るのを最小限に抑えます。
知っておきたい懸念点と上手な使い方
多くの魅力がある一方で、スチーム式加湿器を選ぶ際には知っておきたいポイントもあります。ここでは3つの懸念点と、それに対する上手な使い方をご紹介します。
懸念点1:電気代が高くなりがち
スチーム式は、ヒーターで水を沸騰させるため、他の方式に比べて消費電力が大きく、電気代が高くなる傾向があります 。
他方式との電気代の目安(1ヶ月あたり)
主要加湿器 電気代比較表
各加湿方式の代表的なモデルから、できるだけ近い加湿能力(500ml/h付近)のものを選んで電気代の目安を計算しています。
| 加湿方式 | 機種名 | 運転モード | 消費電力 (W) | 1時間あたりの電気代 (円) | 1ヶ月の電気代 (円) |
| ハイブリッド式 | HD-RXT525 | eco | 12 W | 約0.37円 | 約89円 |
| 標準 | 163 W | 約5.05円 | 約1,213円 | ||
| ターボ | 170 W | 約5.27円 | 約1,265円 | ||
| 気化式 | FE-KX05C | 静か | 4 W | 約0.12円 | 約30円 |
| 強 | 8 W | 約0.25円 | 約60円 | ||
| お急ぎ | 11 W | 約0.34円 | 約82円 | ||
| スチーム式 | EE-DF50-HA | 加湿時 | 410 W | 約12.71円 | 約3,050円 |
| 湯沸かし立ち上げ時 | 985 W | 約30.54円 | (参考値) | ||
| 超音波式 | ASZ-400 | (最大) | 30 W | 約0.93円 | 約223円 |
注:1ヶ月の電気代は1日8時間、30日使用した場合の目安です。スチーム式の「湯沸かし立ち上げ時」は運転開始直後の短時間における最大消費電力であり、継続的な運転コストは「加湿時」の値を参照してください。
このように電気代には差がありますが、象印の加湿器は「しっかり」「標準」「ひかえめ」の3段階で湿度を自動コントロールする機能を搭載しており、過剰な加湿を防いで電力の消費を抑える工夫がされています。
懸念点2:お手入れは必要
「スチーム式は清潔性が高い」という説明をよく見かけると思いますが、それは手入れが不要ということではありません。
清潔さを保つために、いくつかのお手入れが必要です。
- 毎日のお手入れ: タンクに残った水は必ず捨て、新しい水道水と入れ替えましょう。水を継ぎ足して使うと、水道水に含まれるミネラル分(カルキ)が濃縮され、白い固まりが付着しやすくなります。
- 定期的なお手入れ: 1〜2ヶ月に一度、市販のクエン酸を使った「クエン酸洗浄モード」で内部を洗浄することが推奨されています。これにより、カルキ汚れを落とし、加湿性能を維持することができます。
懸念点3:結露や湿度の偏りが起きやすい
スチーム式は湿度の広がりが弱い(本体周辺だけ高湿度になりやすい)ため、置き場所によっては部屋の中で湿度の偏りが生じたり、窓際などで結露が発生したりすることがあります。
これを防ぐためには、置き場所が重要です。
上手な置き方のポイント
- 部屋の中央付近に置く: 壁や窓から離すことで、結露を防ぎ、湿気が部屋全体に行き渡りやすくなります 。
- 床から30cm以上高い場所に置く: テーブルや棚の上に置くと、暖かい空気に乗って湿気が効率よく広がります 。
- エアコンの風が直接当たらない場所に置く: センサーの誤作動を防ぐため、エアコンの風が直接本体に当たらないように気を付けてください。(エアコンの風に湿った空気が乗るようにするのはOK)
- 家具や家電から離す: 湿気による故障や劣化を防ぐため、テレビやパソコンなどの近くは避けましょう。
サーキュレーターを併用して室内の空気を緩やかに循環させると、さらに湿度の偏りをなくすことができます。
シリーズごとの違い
象印の加湿器は、基本的な魅力は共通ですが、使い方やお部屋の広さに合わせていくつかのシリーズに分かれています。
まずは各シリーズのコンセプトをチェックしていきます。
- EE-TBシリーズ (ハイパワータイプ): 最も加湿能力が高く、広いリビングなど大空間向けの最上位モデル。
- EE-DFシリーズ (長時間タイプ): 一度の給水で長く運転できることに特化。寝室での夜通しの使用などに便利です。
- EE-RUシリーズ (ベーシックタイプ): 象印の基本性能を凝縮した、シンプルで分かりやすい標準モデル。
- EE-FAシリーズ (STAN. / デザイン&静音タイプ): インテリアに馴染むデザインと、トップクラスの静音性を追求したプレミアムモデル。
- EE-MBシリーズ (コンパクトタイプ): 書斎や個室など、パーソナルな空間での使用に最適な小型モデル。
全モデルスペック比較一覧表
各モデルの主な仕様を一覧にまとめました。
| 項目 | EE-TB60 | EE-DF50 | EE-DF35 | EE-RU50 | EE-RU35 | EE-FA50 (STAN.) | EE-MB20 / DS |
| シリーズコンセプト | ハイパワー | 長時間 | 長時間 | ベーシック | ベーシック | デザイン&静音 | コンパクト |
| 定格加湿能力 (mL/h) | 600 | 480 | 350 | 480 | 350 | 480 | 200 |
| 適用床面積 (木造/プレハブ) | 10畳/17畳 | 8畳/13畳 | 6畳/10畳 | 8畳/13畳 | 6畳/10畳 | 8畳/13畳 | 3畳/6畳 |
| タンク容量 (L) | 4.0 | 4.0 | 3.0 | 3.0 | 2.2 | 4.0 | 1.8 / 2.0 |
| 連続加湿時間:強 (約h) | 6 | 8 | 8 | 6 | 6 | 8 | 8 (標準) |
| 連続加湿時間:弱 (約h) | 20 (静音) | 27 | 32 | 24 | 27 | - | 16 (静音) |
| 運転音 (約dB) | 強:34 / 弱:30 | 34 | 32 | 34 | 32 | 25 | 標準:32 / 静音:30 |
| 入タイマー | 1~9時間 | 4・6・8時間 | 4・6・8時間 | 6時間 | 6時間 | 1~9時間 | - |
| 切タイマー | 1~9時間 | 1・2・4時間 | 1・2・4時間 | 2時間 | 2時間 | 1~9時間 | 2・4時間 |
| 湿度モニター | デジタル表示 | 3段階ランプ | 3段階ランプ | 3段階ランプ | 3段階ランプ | デジタル表示 | - |
【シリーズ・モデル別】詳細ガイド
ここからは、シリーズごとに違いをを詳しくチェックしていきます。
EE-TBシリーズ:ハイパワーモデル

このシリーズは、象印の加湿器の中で最もパワフルな加湿能力を持つ最上位モデルです。
EE-TB60
他のシリーズとの違い:
- 加湿能力: 600mL/hとラインナップ中最大で、広い空間を素早く加湿します。
- 湿度モニター: 現在の湿度を1%単位で正確に表示する「デジタル湿度表示」を搭載しています。
- タイマー機能: 入・切タイマーともに1時間単位で最大9時間まで細かく設定でき、生活リズムに合わせた運転が可能です。
- 運転モード: 強・中・弱(静音)の3段階で加湿量を調整できます 23。
| 項目 | スペック |
| 定格加湿能力 | 600 mL/h |
| 適用床面積 | 木造和室: ~10畳 / プレハブ洋室: ~17畳 |
| タンク容量 | 4.0 L |
| 連続加湿時間 (約h) | 強: 6 / 中: 10 / 弱(静音): 20 |
| 加湿時消費電力 | 450 W |
| 運転音 (約dB) | 強・中: 34 / 弱(静音): 30 |
| 本体寸法 (幅×奥行×高さ) | 24×27.5×36.5 cm |
EE-DFシリーズ:一度の給水で長く使える長時間モデル

このシリーズは、特に長時間の連続運転に特化しており、就寝時などに給水の手間なく使い続けたい方に最適です。
- 他のシリーズとの違い:
- 長時間運転: 弱モードで最大32時間という、非常に長い連続加湿が可能です(EE-DF35)。
- タイマー機能: RUシリーズと比べて、入タイマー(4・6・8時間)、切タイマー(1・2・4時間)ともに複数の時間から選べるため、睡眠時間などに合わせた設定がしやすくなっています。
- 運転モード: TBシリーズと同様、強・中・弱の3段階で加湿量を調整できます。
- 湿度モニター: 全モデル共通の「自動加湿3段階」機能と連動し、「低湿」「適湿」「高湿」をランプで知らせる湿度モニターを搭載しています。
EE-DF50 と EE-DF35
EE-DF50
EE-DF35
| 項目 | EE-DF50 | EE-DF35 |
| 定格加湿能力 | 480 mL/h | 350 mL/h |
| 適用床面積 | 木造和室: ~8畳 / プレハブ洋室: ~13畳 | 木造和室: ~6畳 / プレハブ洋室: ~10畳 |
| タンク容量 | 4.0 L | 3.0 L |
| 連続加湿時間 (約h) | 強: 8 / 中: 16 / 弱: 32 | 強: 8 / 中: 16 / 弱: 32 |
| 加湿時消費電力 | 410 W | 305 W |
| 運転音 (約dB) | 34 | 32 |
| 本体寸法 (幅×奥行×高さ) | 24×27.5×36.5 cm | 24×27.5×32.5 cm |
EE-RUシリーズ:シンプルで使いやすいベーシックモデル

象印の基本的な性能を凝縮した、シンプルさが魅力のスタンダードシリーズです。
初めてスチーム式加湿器を使う方にもおすすめです。
- 他のシリーズとの違い:
- シンプルな機能: DFシリーズと比べ、タイマーが「入6時間・切2時間」の固定式、運転モードが「強・弱」の2段階と、機能がシンプルです。
- 湿度モニター: DFシリーズと同様、「低湿」「適湿」「高湿」をランプで知らせる湿度モニターを搭載しています。
EE-RU50 と EE-RU35
EE-RU50
EE-RU35
| 項目 | EE-RU50 | EE-RU35 |
| 定格加湿能力 | 480 mL/h | 350 mL/h |
| 適用床面積 | 木造和室: ~8畳 / プレハブ洋室: ~13畳 | 木造和室: ~6畳 / プレハブ洋室: ~10畳 |
| タンク容量 | 3.0 L | 2.2 L |
| 連続加湿時間 (約h) | 強: 6 / 弱: 24 | 強: 6 / 弱: 27 |
| 加湿時消費電力 | 410 W | 305 W |
| 運転音 (約dB) | 34 | 32 |
| 本体寸法 (幅×奥行×高さ) | 24×26×31.5 cm | 24×26×27.5 cm |
EE-FAシリーズ (STAN.):デザインと静音性に優れたモデル


性能だけでなく、インテリアとの調和や静かさを重視する方向けのプレミアムシリーズです。
EE-FA50
暮らしに溶け込むデザインと、就寝時にも気になりにくい静かさが最大の特徴です。
- 他のシリーズとの違い:
- 静音性: 加湿中の運転音が約25dBと、全モデルの中で最も静かな設計です。
- デザイン: シンプルな本体に、電源を入れると操作部が浮かび上がる「透過式タッチパネル」を採用し、洗練された印象を与えます。
- 湿度モニター: TBシリーズと同様の「デジタル湿度表示」を搭載しています。
- タイマー機能: TBシリーズと同様、1時間単位で最大9時間まで細かく設定できる柔軟な切タイマーを備えています。
| 項目 | スペック |
| 定格加湿能力 | 480 mL/h |
| 適用床面積 | 木造和室: ~8畳 / プレハブ洋室: ~13畳 |
| タンク容量 | 4.0 L |
| 連続加湿時間 (約h) | 8 (最大加湿時) |
| 加湿時消費電力 | 410 W |
| 運転音 (約dB) | 25 (加湿中) |
| 本体寸法 (幅×奥行×高さ) | 24.5×24×37 cm |
EE-MBシリーズ:書斎や寝室に最適なコンパクトモデル
書斎のデスク周りやベッドサイドなど、パーソナルな空間を潤すのに適した小型シリーズです。
EE-MB20 / EE-MB20DS
EE-MB20
EE-MB20DS
コンパクトながら、象印ならではの清潔さや安全性はしっかりと備えています。
- 他のシリーズとの違い:
- コンパクトさ: 設置面積が小さく、限られたスペースにも置きやすい設計です 37。
- シンプルな機能: 湿度モニターはなく、タイマーは「切2・4時間」のみと、機能を絞ったシンプルな構成です。
- 運転モード: 「標準」と「静音」の2段階で運転します。
- EE-MB20とEE-MB20DSの違い:
- 基本的な性能は同じですが、カラーとタンク容量がわずかに異なります(EE-MB20: 1.8L、EE-MB20DS: 2.0L)40。
| 項目 | スペック |
| 定格加湿能力 | 200 mL/h |
| 適用床面積 | 木造和室: ~3畳 / プレハブ洋室: ~6畳 |
| タンク容量 | 1.8 L (EE-MB20) / 2.0 L (EE-MB20DS) |
| 連続加湿時間 (約h) | 標準: 8 / 静音: 16 |
| 加湿時消費電力 | 190 W (標準) |
| 運転音 (約dB) | 標準: 32 / 静音: 30 |
| 本体寸法 (幅×奥行×高さ) | 20×23×26.5 cm |
まとめ:あなたの暮らしに合う一台を見つけるために
ここまで、象印のスチーム式加湿器のシリーズごとの違いを詳しく見てきました。最後に、どのような使い方をしたいかに合わせて、おすすめのモデルをまとめます。
- 広いリビングをパワフルに加湿したいなら
- → EE-TB60 が最適です。最大の加湿能力と詳細な設定機能で、広い空間を快適に保ちます。
- 寝ている間、給水の手間なく使い続けたいなら
- → EE-DFシリーズ (EE-DF50 / EE-DF35) がおすすめです。最長32時間の連続運転で、朝までしっかりお部屋を潤します。
- とにかく静かなモデルが欲しい、デザインにもこだわりたいなら
- → EE-FA50 (STAN.) が唯一の選択肢です。圧倒的な静音性と洗練されたデザインで、上質な空間を演出します。
- シンプルで分かりやすい、信頼できる基本性能を求めるなら
- → EE-RUシリーズ (EE-RU50 / EE-RU35) がぴったりです。象印の魅力を手軽に体感できる、バランスの取れたモデルです。
- 自分のデスク周りや個室で手軽に使いたいなら
- → EE-MBシリーズ が適しています。コンパクトなサイズで、パーソナルスペースを快適に加湿します。
ご自身のライフスタイルや使うお部屋に合わせて、最適な一台を選んでみてください。この記事が、あなたの加湿器選びの助けとなれば幸いです。
