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【本当にお買い得?】ジャパネットのダイソンHP00、本当に「買い」?セールストークの裏側を深堀りチェック

 

この記事を書いた人: 「白物家電ブログ)」管理人

家電量販店での商品案内歴約20年(現役)。

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家電を買って試したり、データや仕組みに基づいて深堀りして考えるのが好きです。

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先日、ジャパネットたかたでダイソンの「Pure Hot+Cool HP00」が紹介されていて、私のブログや動画にもいつもより多くのアクセスがありました。

テレビを見ていると、
「1台3役で一年中使えて、スイッチひとつでパワフルな温風が!」
「あのダイソンがこの価格!」

なんて言われると、すごく魅力的に見えますよね。

ただ、私も長年家電を案内してきて思うんですが、ああいうセールストークって、嘘ではないんだけど、製品の良いところだけを上手に切り取って見せていることが多いんですね。

実は私もダイソンホット&クールを持っています。
いい部分も多いんですけど、ジャパネットに限らず、多くのセールストークはちょっと大げさだなって思ったりします。

そこで今回は、ジャパネットで紹介されているダイソンHP00について、そのセールストークの裏側を、仕組みやデータに基づいて冷静にチェックしていきたいと思います。

そもそも、今回セールになっているダイソン「HP00」ってどんな製品?

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たしかジャパネットのチャレンジデーでは、34,800円程度だったと思います

まず、このHP00がどういう立ち位置の製品なのかを知っておくのが大事です。

ダイソンのPure Hot+Coolシリーズは、その名の通り「空気清浄機」「ファンヒーター(温風)」「扇風機(涼風)」の3つの機能を1台にまとめた製品です 。  

今回ジャパネットでよく取り上げられるHP00というモデルは、2019年4月に発売されたモデルで、現行ラインナップの中では機能をシンプルにしたエントリーモデルという位置づけになります 。  

後継の上位モデル(HP03やHP07など)に搭載されているような、スマホアプリとの連携機能や、本体の液晶ディスプレイでの空気質の詳細表示といった機能は省略されています 。  

つまり、「最新のフル機能のダイソン」ではなく、「基本的な機能に絞った旧世代のモデル」が、お求めやすい価格で提供されている、というのが正確なところですね。

HP00とHP00ISNについて

ダイソンのHP00の型番は、よく「HP00ISN」と表記されています。このアルファベットは、以下のように分解できます。

  • HP00: これが製品の基本モデル名です。
  • IS: これはカラーコードで、「アイアン/シルバー」の色を表しています 。  
  • N: これがご質問のポイントですが、「リニューアルモデル」を意味する記号です。ただし、これは機能や性能が変わったわけではなく、製造ロットの更新やごくわずかなマイナーチェンジを示しているだけで、実質的な違いはないと考えて問題ありません 。  

つまり、市場で見かける「HP00IS」と「HP00ISN」は、実質的に同じ製品ということです 。Nが付いているから新しい機能がある、といったことはないので、購入時にこの違いを気にする必要はありませんよ。

ジャパネットのセールストークを冷静にチェック!

それでは、ジャパネットのセールストークでよく使われるフレーズを、一つひとつ掘り下げて見ていきましょう。

トーク①:「スイッチを入れたらすぐ暖かい!パワフルな暖房!」の本当のところ

【結論から言うと…】「すぐ暖かい」は本当。でも「パワフル」の解釈には注意が必要です。

◎ たしかに、ここがスゴい!「すぐ暖かい」はファンヒーターの大きな強み

これはセールストークの通りで、HP00はスイッチを入れるとすぐに温風が出てきます 。

ファンで温風を直接送り出すので、部屋全体が暖まるのを待たずに、すぐに暖をとりたい場面では非常に便利です。  

特に「ジェットフォーカステクノロジー」によって、狙った場所にまっすぐ温風を届けられるので、脱衣所やお風呂上がりの洗面所、デスクワーク中の足元といった、「狭い空間」を「短時間」暖めるという使い方では、その強みを最大限に発揮します。

△ でも、ここは知っておきたい!「パワフル」の裏側にある暖房の仕組み

問題は「パワフル」という言葉のイメージです。これ、実はいくつかの注意点があります。

暖房の注意点①
ダイソンだから「特別暖かい」わけではない

HP00の暖房は、電気を熱に変えるごく一般的な「電気抵抗加熱式」のヒーターです。

消費電力は1200W。 これは物理の法則なので、どんなメーカーの電気ヒーターでも、1200Wなら生み出せる熱量は全く同じです。

ダイソンの凄さは、その熱を独自の「Air Multiplier™テクノロジー」で効率よく遠くまで届ける「風の技術」にあり、熱量そのものがパワフルなわけではありません。  

暖房の注意点②
実はエネルギー効率は良くない

暖房器具の省エネ性能はCOP(成績係数)という指標で見ます。これは「使った電気の何倍の熱を生み出せるか」を示す数値で、大きいほど省エネです。

  • ダイソンHP00(電気ヒーター):COP ≒ 1.0 (使った電気と同じ量の熱しか出せない)
  • 一般的なエアコン:COP ≒ 3.0~5.0 (使った電気の3~5倍の熱を生み出せる)

見ての通り、エアコンと比べるとエネルギー効率には大きな差があります。

暖房の注意点③
電気代は結構かかる

効率が良くないということは、当然電気代に跳ね返ってきます。HP00を温風モードで1時間使うと…

1.2kW×31円/kWh=約37.2円

1日8時間使えば約297円。これを毎日続けると、なかなかの金額になります。レビューでも「電気代が高い」という声は実際にあります 。  

暖房の注意点④
広い部屋を暖めるのは苦手

HP00の暖房能力の公式な目安は「木造住宅で最大6畳、コンクリート住宅で最大8畳」です 。

これは国の定める基準に基づいた、かなり現実的な数値です 。

ジャパネットの映像ではオシャレなリビングに置かれていますが、一般的な10畳以上のリビング全体をこれ1台で暖めるのは、正直かなり厳しい場合も多くあります。

あくまで「補助暖房」や「パーソナル暖房」と考えるのが安心です。

すごくざっくりした説明になりますが、HP00は・・
エントリークラスの6畳用エアコンの半分程度の暖房能力。
セールでよく1万円台半ばで販売されている石油ファンヒーター(3.2kW)の3分の1程度の暖房能力。ということろです。

トーク②:「夏はパワフルで涼しい風!」の本当のところ

【結論から言うと…】風は出ますが、「涼しい」の定義に注意。あくまで「扇風機」です。

◎ たしかに、ここがスゴい!ムラのないスムーズな風

これもダイソン独自の「Air Multiplier™テクノロジー」のおかげで、羽根つきの扇風機のような「ブンブン」という断続的な風ではなく、スムーズで心地よい風が出てきます 。

この風の質を高く評価する声は多いです 。  

△ でも、ここは知っておきたい!エアコンとは全くの別物

一番大事なのは、HP00はエアコンではないということです。

ときどき、エアコンのような冷たい風が出ると期待しているお客さんに出くわします。
"cool"っていう商品名が紛らわしのが悪いですよね・・

空気自体の温度を下げる機能はありません。

涼しく感じるのは、風が肌にあたって汗が蒸発するときの気化熱によるもので、これはごく普通の扇風機と全く同じ原理です。

「エアコンの代わりになる」と期待して買うと、「思ったより涼しくない…」と感じてしまう可能性があるので注意が必要です 。  

トーク③:「1台3役で一年中使える!」の本当のところ

【結論から言うと…】これは最大のメリット。ただし、各機能は「専門家」には敵わない。

◎ たしかに、ここがスゴい!省スペースと利便性は大きな価値

ファンヒーター、扇風機、空気清浄機をそれぞれ買うと場所を取りますし、季節ごとに出し入れするのも面倒です。
それがこの1台で済むというのは、紛れもなく大きなメリットです 。

特に、収納スペースが限られているお家では重宝するでしょう。

また、PM0.1レベルの微粒子を99.95%除去するという空気清浄機能も、HEPAフィルターを搭載した本格的なものです 。  

△ でも、ここは知っておきたい!「器用貧乏」になる可能性も

ただし、それぞれの機能は、その道の専門家である単機能の製品と比べると見劣りする部分もあります。

  • 暖房はエアコンより効率が悪い。
  • は高性能なサーキュレーターほどの風量はないかもしれない。
  • 空気清浄も、より強力な清浄能力を持つ専用機には敵わない。

HP00の価値は、それぞれの機能が最高レベルであることではなく、「そこそこの性能の3つの機能が、1台にまとまっている利便性」にある、と理解するのが良いでしょう。

トーク④:「PM0.1レベルまで除去する空気清浄能力」の本当のところ

【結論から言うと…】フィルターの性能は高いです。
でも、部屋全体への効果と使い勝手には注意点があります。

◎ たしかに、ここがスゴい!高性能なHEPAフィルター

HP00は「PM0.1レベルの微細な粒子を99.95%除去する」と謳っています 。

これは搭載されている「360°グラスHEPAフィルター」自体の性能を示すもので、花粉やハウスダスト、ウイルスの一部まで捕集できる非常に高性能なフィルターであることは事実です 。  

△ でも、ここは知っておきたい!空気清浄機としての「実力」と「賢さ」

1. 「8畳を30分」の本当の意味

カタログには空気清浄能力の目安として「8畳を30分」と記載されています 。

これは日本電機工業会(JEMA)が定めた規格で、「タバコ5本分の煙を30分できれいにできる広さ」という意味です 。 ただ、アレルギー対策などでよりクリーンな環境を求める場合、国際的には1時間あたりに部屋の空気を4〜5回入れ替えることが推奨されています 。

JEMAの基準は1時間に2回程度の換気回数に相当するため、本当に高いレベルで空気をきれいにできるのは、公称の半分以下の広さ(〜4畳程度)と考えるのが現実的です。  

LDK向けの空気清浄であれば、適用床面積20~30畳くらいが売れ筋です。
国内メーカーの売れ筋モデルからすれば、かなり控えめな空気清浄能力だと言えます。

2. フィルター交換は意外なランニングコストに

HP00のフィルターは洗浄不可で、定期的な交換が必要です。

メーカーは1日12時間の使用で約1年ごとの交換を推奨しています 。

そして、この純正フィルターの価格がだいたい6,500円前後と、なかなかの金額です 。

空気清浄機をメインで使いたいと考えている方にとっては、このランニングコストは少しネックになるかもしれません。

単機能の空気清浄機の中には、フィルター寿命が10年というモデルも珍しくありませんからね 。購入時の本体価格だけでなく、この定期的なフィルター代も考慮に入れておく必要があります。

ちなみに、空気清浄機能をオフにするということは出来ません。
扇風機であれ、温風であれ、運転中は同時に空気清浄も行う構造になっています。

3. 「オートモード」がないのは大きな弱点

HP00には、空気の汚れを検知して自動で風量を調整する「オートモード」がありません。これは後継モデルのHP03などには搭載されている機能です 。

オートモードがないと、窓を開けたり調理を始めたりして空気が汚れても、自分で風量を上げないと素早くきれいになりません。

逆に、空気がきれいになっても手動で風量を下げないと、無駄に電気を使ったり、運転音が気になったりします。

常に手動での操作が必要になる点は、現代の空気清浄機としては少し不便なポイントと言えるでしょう。  

トーク⑤:「運転音が静か」の本当のところ

【結論から言うと…】風量を弱くすれば静かです。でも、風量を上げると音はしっかりします。

◎ たしかに、ここがスゴい!弱い風量なら寝室でも使えるレベル

HP00の運転音は、公式スペックでは涼風モードの最小時で27.4dBとされています 。

これは「ささやき声」や「静かな図書館」くらいのレベルなので、風量を1〜3程度で使う分には、静かです 。

実際に「寝室で使っても気にならない」というレビューもあります 。  

△ でも、ここは知っておきたい!風量と音質の関係

1. 風量を上げると音は大きくなる

涼しさや暖かさをしっかり感じようと風量を最大にすると、運転音は48.6dBまで上がります 。

これは「静かな事務所」や「エアコンの室外機」くらいの音量感で、決して無音ではありません 。

レビューでも「風量を上げるとうるさい」「寝室には不向き」という声が多数見られます 。  

音が気になる、気にならないは環境によってもかわりますし、気になる度合いは個人差が非常に大きいです。私の個人的意見では、寝室で使うのは結構厳しいという印象です。

2. 音の「質」に特徴がある

ダイソンの扇風機は、一般的な扇風機の「バタバタ」という低い風切り音とは違い、「シュー」とか「フォー」といった、少し周波数の高いモーター音や風切り音が特徴です 。

この高めの音が、人によっては耳障りに感じやすい可能性があります。

特に静かな寝室で使いたいと考えている方は、一度お店などで最大風量時の音を確認してみることをおすすめします。  

家電量販店の店内はかなりうるさいです。
弱い風で試すとすごく静かに聞こえますので、風量を強くして、近くでどんな音か聞いてみてください。

結局、ジャパネットの価格は本当にお得なの?他のモデルとの違いは?

ご依頼いただいたので、この部分をもう少し詳しく見ていきましょう。HP00の価格を判断するには、他のモデルとの「違い」を知ることが重要です。


HP00(2019年発売)

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今回取り上げている、機能がシンプルなエントリーモデルです。温風・涼風・空気清浄という基本機能に絞られており、スマホ連携や本体ディスプレイはありません。とにかく「ダイソンのHot+Cool」を試してみたい方向けの、基本のモデルと言えます 。  


HP03(少し前の高機能モデル / 2017・2020年発売)

実はHP00より前に発売されたモデルですが、機能的にはこちらが上位互換になる部分があります。

最大の違いはWi-Fiを搭載し、スマホアプリ「Dyson Link」に対応している点です 。これにより、外出先からスマホで操作したり、部屋の空気の状態をチェックしたり、運転スケジュールを組んだりといった、よりスマートな使い方が可能です 。

フィルターの活性炭も増量されており、ニオイや有害ガスの除去能力も高められています 。  


HP10(現行のシンプルモデル / 2024年発売)

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HP00の事実上の後継機にあたる、現行のシンプルモデルです 。

HP00と同じくスマホ連携機能はありませんが、いくつかの点で進化しています。

まず、本体に小さなLCDディスプレイが搭載され、空気の状態をリアルタイムで確認できるようになりました 。

また、首振り角度が最大350°と、HP00やHP03(約70°)よりも広範囲に風を送れるようになっています 。  


これらの違いをまとめると、以下のようになります。

モデル主な特徴スマホ連携首振り角度表示機能発売年
HP00基本機能に絞ったシンプルモデルなし約70°ランプのみ2019年
HP03スマホアプリ連携で遠隔操作や空気質の確認が可能あり約70°ランプのみ2017/2020年
HP10本体LCDディスプレイ搭載、首振り角度が広い現行シンプルモデルなし最大350°本体LCD2024年

こうして見ると、ジャパネットで販売されているHP00は「スマホ連携や本体表示などの便利機能はない、シンプルな旧モデル」であることがはっきりしますね。

「ダイソンの最新機種が安い!」わけではなく、「型落ちのエントリーモデルだからこその価格」ということです。

まとめ:結局、ダイソンHP00はどんな人におすすめ?

ここまでセールストークを冷静に見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

ダイソンHP00は決して悪い製品ではありません。

冒頭にもお伝えした通り、私もHP03を持っています。

ただ、テレビ通販のイメージだけで買うと「思ってたのと違う…」となりがちな、得意・不得意がはっきりした製品なんです。

ジャパネットのトークは、この製品が最も輝く「狭い場所でのスポット利用」という使い方を、あたかも家全体で活躍する万能選手のように見せるのが非常に上手いんですね。

この記事が、テレビの情報を鵜呑みにするのではなく、ご自身の使い方に本当に合った製品なのかを判断するための一助となれば嬉しいです。

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