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【エアコン・暖房関連記事作成用】日本の住宅の断熱性能まとめ

本稿は、日本の住宅における断熱性能基準の歴史的変遷と、2025年4月に施行される建築物省エネ法改正に伴う基準適合義務化、そして将来的な基準の展望について、公的資料に基づき客観的にまとめたものです。

1. 断熱性能の評価指標

住宅の断熱性能は、主に「断熱等性能等級」と「UA値」という2つの指標で評価されます。

断熱等性能等級

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度で定められた、断熱性能を示す等級です。

等級1から7まであり、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します 。2022年に、脱炭素社会の実現に向け、より高性能な等級5〜7が新設されました 。  

UA値(外皮平均熱貫流率)

住宅の内部から、壁、床、天井、窓などを通して外部へどれくらいの熱が逃げるかを示した数値です。

UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを意味します 。

この数値は、日本を8つに分けた地域区分ごとに基準値が定められています 。  


【参考資料:断熱等性能等級について】


2. 建築年代別にみる断熱性能基準の変遷

日本の省エネルギー基準は、時代と共に段階的に強化されてきました。建築された年代ごとのおおよその断熱性能レベルは以下の通りです。

建築年代の目安制定年基準の名称断熱等性能等級(相当)
~1980年頃-無断熱基準等級1
1980年~1992年頃1980年旧省エネルギー基準等級2
1992年~1999年頃1992年新省エネルギー基準等級3
1999年~2025年3月1999年次世代省エネルギー基準等級4

【参考資料:省エネ基準の変遷について】


3. 【補足】日本の住宅ストックにおける断熱性能の現状

国土交通省の最新の推計(令和4年度時点)によると、日本に存在する住宅ストック(約5,400万戸)の断熱性能の分布は以下のようになっています。

断熱性能レベル全体に占める割合
現行基準 適合 (等級4相当)18%
H4(1992年)基準 適合 (等級3相当)22%
S55(1980年)基準 適合 (等級2相当)36%
S55基準 未満 (無断熱など)24%

このデータが示す通り、既存住宅の82%が、2025年から新築で義務化される最低基準(等級4)に達していないのが現状です。


【参考資料:住宅ストックの断熱性能分布について】


4. 2025年4月からの省エne基準適合義務化

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2025年4月1日以降に建築確認を受ける新築のすべての住宅・非住宅に対し、省エネ基準への適合が法律で義務付けられます 。  

  • 義務化される基準: 断熱等性能等級4 および 一次エネルギー消費量等級4 。  
  • 影響: この基準に適合しない建築物は、原則として建築できなくなります。また、2024年以降、省エネ基準に満たない新築住宅は住宅ローン控除の対象外となっています 。  

【参考資料:省エネ基準適合義務化について】


5. 2030年以降の目標と、より高い断熱基準

等級4の義務化は通過点であり、国はさらに高いレベルの省エネ性能を標準化していく方針です。

2030年の目標:ZEH水準(等級5)の義務化

政府は、2030年度以降に新築される住宅について、ZEH(ゼッチ)水準である断熱等性能等級5への基準引き上げを目指しています 。  

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

ZEHとは、高断熱な外皮と高効率な省エネ設備により消費エネルギーを削減し、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味(ネット)でゼロ以下にすることを目指した住宅です 。  

  • 断熱性能要件: 断熱等性能等級5(UA値0.60以下 ※東京などの6地域の場合) 。  

【参考資料:ZEHについて】


HEAT20:快適性と健康を追求する民間基準

HEAT20は、国の基準とは別に、より高い断熱性能による快適な室内環境の実現を目指す民間団体(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)が提唱する水準です。**「冬期間、無暖房の部屋の最低室温」**を指標とし、G1・G2・G3の3つのグレードを設定しているのが特徴です 。  

HEAT20のグレードとUA値の目標(東京などの6地域の場合)

グレードUA値(W/㎡K)断熱等性能等級(相当)冬の最低室温の目安
G10.56以下 等級5と6の間おおむね10℃を下回らない
G20.46以下 等級6 おおむね13℃を下回らない
G30.26以下 等級7 おおむね15℃を下回らない

【参考資料:HEAT20について】

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