エアコンの買い替えを検討する際、多くの人がその選択肢の多さに頭を悩ませます。
特に毎年のように登場する新モデルは、旧モデルと何がどう違うのか、カタログの専門用語だけでは判断が難しいものです。
この記事では、2025年11月1日に発売されるダイキンの家庭用エアコン2026年モデル(A・R・Dシリーズ)について、旧モデルからの変更点を整理し、各シリーズの役割と選び方を解説します。
この記事でわかること:
- 2026年モデル(A・Rシリーズ)の主な3つの新機能
- A・R・Dシリーズ、それぞれの特徴と位置付け
- 新旧モデルの省エネ性能(14畳・18畳)の比較
- ご自身の使い方に合わせたモデルの選び方
高価な買い物で後悔しないために、客観的な情報としてご活用ください。
目次
2026年モデルの主な変更点(A・Rシリーズ)
容量によって性能変化のばらつきはありますが、例として主に14畳用のRシリーズ(うるさらX)の較表を載せておきます。
主に14畳用 Rシリーズの例
特徴・仕様 | 2026年モデル (AN406ARP) | 2025年モデル (AN405ARP) | 進化点 |
APF (通年エネルギー消費効率) | 7.3 | (非公開、2026年が向上) | 業界トップクラスの省エネ性 |
最小冷房能力 | 0.3 kW | 0.5 kW | 約40%低減、安定時の効率向上 |
最小冷房消費電力 | 65 W | 85 W | 20W低減、さらなる省エネ |
PIT制御 | プレミアムPIT | 従来PIT | 強化 |
エコブースト制御 | 搭載 | 非搭載 | 新規搭載 |
猛暑時スピード気流 | 搭載 | 非搭載 | 新規搭載 |
無給水加湿・換気機能 | 搭載 | 搭載 | 継続搭載 |
2026年モデル
高性能・加湿 換気機能付き
Rシリーズ 例 主に14畳

2026年モデル
高性能モデル
Aシリーズ 例 主に14畳

今回のモデルチェンジの大きな点は、AシリーズとRシリーズに共通の新しい制御技術が導入されたことです。
これは「実際の生活環境における効率」を重視したもので、主に3つの機能から構成されています。
1. 安定運転時の効率化:「プレミアムPIT制御」

※9.0kWモデルはPIT制御
これは、設定温度に到達した後の「安定運転時」の消費電力を抑えるための技術です 。
従来のエアコンは、室温を維持するために運転のON/OFFを繰り返すことがあり、その際に電力を消費しやすいという側面がありました。
「プレミアムPIT制御」は、ダイキン独自の「スイングコンプレッサー」と電子膨張弁の連携により、ごく弱い出力での連続運転を可能にします 。
これにより、特に気密性の高い住宅などで、エアコンが過剰にON/OFFすることなく、室温の変化を抑えながら運転を継続できます。
性能面では、最小冷房能力が2025年モデルの0.5kWに対し、2026年モデルでは0.3kWまで低減されています 。
2. 起動時の効率化:「エコブースト制御」

これは、エアコン起動時の消費電力を抑えるための学習機能です 。
エアコンは、室温を設定温度に到達させるまでの起動時に多くの電力を消費します。
「エコブースト制御」は、設置された部屋の環境や使われ方をエアコンが学習し、毎回最大出力で起動するのではなく、状況に応じた効率的な立ち上がり方を自動で判断します。
この機能により、設定温度への到達時間は従来モデルと同等を維持しながら、起動時の消費電力量を冷房時で最大5%、暖房時で最大8%削減できるとされています。
3.高集積熱交換器
※4.0kW(200V)・5.6kWモデルのみ

室外機の配管位置の工夫し、通風経路が拡大しています。
4. 猛暑への対応:「猛暑時スピード気流」
これは、近年の気候状況に対応するための機能です。
外気温が35℃以上の際に、冷房運転のパターンを自動で変更します。
通常、気流が人に直接当たる不快感を避ける制御を行いますが、本機能は猛暑を検知すると、室温を素早く下げることを優先し、部屋の中央付近へ風を送る運転に切り替わります。
ダイキンの試験データによれば、この機能により、設定温度への到達時間が従来モデルに比べ約17%短縮される結果が報告されています。
省エネ性能の比較(14畳・18畳モデル)
ここでは、特に大きな変化のあった14畳と18畳モデルについて、2026年モデルと2025年モデルの省エネ関連の指標を比較します。
(AシリーズとRシリーズは同等の性能です)
14畳モデル 省エネ性能比較 (A/Rシリーズ)
指標 | 2026年モデル (新型) A・Rシリーズ | 2025年モデル (旧型) A・Rシリーズ |
省エネ性能多段階評価 | ★★★★☆ 4.5 | ★★★★☆ 4.0 |
年間電気代の目安 | 約28,000円 | 約28,800円 |
省エネ基準達成率 | 110% | 107% |
18畳モデル 省エネ性能比較 (A/Rシリーズ)
指標 | 2026年モデル (新型) A・Rシリーズ | 2025年モデル (旧型) A・Rシリーズ |
省エネ性能多段階評価 | ★★★☆☆ 3.0 | ★★☆☆☆ 2.6 |
年間電気代の目安 | 約43,300円 (計算値) | 約44,700円 |
省エネ基準達成率 | 104% | 101% |
シリーズごとの特徴と選択の考え方
これらの新機能は、すべてのシリーズに搭載されているわけではありません。
4.3 2026年モデル 機能・技術マトリクス
機能・技術 | Rシリーズ (2026) | Aシリーズ (2026) | Dシリーズ (2026) |
プレミアムPIT制御 | ◯ | ◯ | PIT |
エコブースト制御 | ◯ | ◯ | - |
猛暑時スピード気流 | ◯ | ◯ | - |
うるる加湿 (無給水加湿) | ◯ | - | - |
給気換気 | ◯ | - | - |
さらら除湿 | ◯ | ◯ | ◯ |
高暖房性能 (-25℃対応) | - | - | ◯ |
ドレンパンヒーター | - | - | ◯ |
水内部クリーン | ◯ | ◯ | ◯ |
Rシリーズ(うるさらX)
加湿・換気機能も備えた多機能モデルRシリーズは、上記で解説した3つの新機能をすべて搭載しています 。
それに加え、ダイキン独自の給水不要の「うるる加湿」と、屋外の空気を取り入れる「給気換気」の機能も備えています。
冷暖房だけでなく、湿度や換気といった空気質全般を一台で管理したい場合に適しています。
Aシリーズ
効率と基本性能を重視したモデル2026年モデルのAシリーズは、Rシリーズと共通の3つの新機能をすべて搭載している点が大きな特徴です。
これにより、冷暖房の基本性能や省エネ性に関する部分はRシリーズと同等になりました。
「加湿や換気の機能は不要で、効率的な冷暖房機能を重視したい」という場合に、有力な選択肢となります。
Dシリーズ(スゴ暖)

寒冷地向けの暖房強化モデル寒冷地向けに設計されたDシリーズは、A・Rシリーズとは異なる位置付けです。
今回紹介した3つの新機能は搭載されていません。その代わりに、外気温が$-25^{\circ}C$の環境でも運転できる設計や、室外機の凍結を防ぐドレンパンヒーターの搭載など、冬場の厳しい寒さの中で安定した暖房能力を発揮することに特化しています。
暖房性能を最優先する寒冷地での使用を前提としたモデルです。
まとめ:ご自身の使い方に合わせたモデルの選び方
これまでの情報を踏まえ、どのような基準で選ぶべきかを整理します。
▶︎ 加湿や換気も重視する場合 →【Rシリーズ】
冷暖房の性能に加えて、冬場の乾燥対策として加湿機能、また室内の空気を入れ替える換気機能も一台で済ませたいというニーズがあれば、これらの機能を搭載するRシリーズが選択肢となります。
▶︎ 効率的な冷暖房を重視する場合 →【Aシリーズ】
加湿器を別途使用している、あるいは換気機能は特に必要ないという場合、AシリーズはRシリーズと同じ基本性能を持ちながら、価格を抑えることができます。コストパフォーマンスを重視するなら、有力な候補です。
▶︎ 寒冷地で暖房能力を最優先する場合 →【Dシリーズ】
お住まいの地域が寒冷地であり、冬場の暖房能力がエアコン選びの最優先事項であるならば、その目的に特化して設計されているDシリーズが適しています。
エアコンは長く使う家電です。この記事が、ご自身のライフスタイルに合った一台を、納得して選ぶための一助となれば幸いです。