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【コロナ対ダイニチ】石油ファンヒーター2社の特徴・電気代・灯油の持ちなど数値でチェック

 

この記事を書いた人: 「白物家電ブログ)」管理人

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「石油ファンヒーターを買おうと思うんだけど、コロナとダイニチって結局どっちがいいの?」

毎年冬が近づくたびに必ずいただくこの質問。

ネットで検索しても、似たような比較記事がたくさん出てきて、正直どれを信じたらいいか分からなくなりますよね。

そこでこの記事では、巷にあふれるスペック比較だけでなく、「なぜそうなるのか?」という仕組みや理屈の部分まで踏み込んで、両社の違いを徹底的に解剖していきます。

  • 燃費の真実:灯油代は同じなのに、なぜトータルコストで差が出るのか?
  • すべての違いの根源!心臓部である「燃焼方式」の違いとは?
  • 「速さのダイニチ」vs「静かさのコロナ」、あなたに合うのはどっち?
  • 消火時のニオイ、給油の手間、保証期間まで、リアルな使い勝手を比較

この辺のトピックについてお伝えして行きたいと思います。

このページでは、コロナ・ダイニチのメーカー特色やランニングコストについてお伝えしています。

具体的な機種紹介はこちらのページでしています。

【2025年版】コロナ vs ダイニチ 石油ファンヒーターガイド!主力8シリーズ機能比較

2025/10/24  

冬の暖房選びで、必ず名前が挙がるコロナとダイニチの石油ファンヒーター。 どちらも信頼できる日本のメーカーですが、いざ選ぶとなると「たくさん種 ...

【最重要】ランニングコストの真実:灯油の燃費はほぼ同じ。本当の差は「電気代」にあり!

ファンヒーター選びで多くの方が気にするのが「燃費」ですよね。そして、ここが一番誤解されやすいポイントでもあります。

灯油の燃費は、実はほとんど変わらない

結論から言うと、同じ暖房能力(kW)であれば、コロナもダイニチも灯油の消費量はほぼ同じです。

これは物理の原則で、灯油が燃焼して生まれる熱量はJIS規格で決まっています 。

つまり、同じ暖かさを得るためには、原理的に同じ量の灯油を燃やす必要があるのです。  

実際に、両社の同じ暖房能力(5.7kWクラス)を持つ2025年モデルで比較してみましょう。



モデル名暖房出力最大火力時の灯油消費量
コロナ FH-WZ5725BY5.65 kW0.549 L/h
ダイニチ FW-5725SGX5.70 kW0.554 L/h

ご覧の通り、その差はごくわずか。灯油代だけで見れば、両者に大きな差は生まれません。

本当の差は「運転中の電気代」とその衝撃の差額

では、どこでコストの差がつくのか?それは運転中の消費電力です。

モデル名最大火力時の消費電力最小火力時の消費電力
コロナ FH-WZ5725BY10.5 W 4 W
ダイニチ FW-5725SGX191 W80 W

一目瞭然ですね。最大火力時で約18倍、最小火力時ではなんと20倍もの差があります。

この差が実際の電気代にどれくらい影響するのか、具体的に計算してみましょう。

電気代シミュレーション(1kWh=31円で計算 ) 条件: 1日8時間、30日間(1ヶ月)、90日間(ワンシーズン/3ヶ月)使用した場合  

コロナダイニチ電気代の差額
1時間の電気代
(最大火力時)
約0.33円約5.92円約5.59円
1ヶ月の電気代
(最大火力時)
約78円約1,421円約1,343円
ワンシーズンの電気代
(最大火力時)
約237円約4,262円約4,025円
1時間の電気代
(最小火力時)
約0.12円約2.48円約2.36円
1ヶ月の電気代
(最小火力時)
約30円約595円約565円
ワンシーズンの電気代
(最小火力時)
約86円約1,786円約1,682円

こうして見比べると、電気代は結構大きな差がつきますね。

特に室温が安定し、最小火力で長時間運転することが多いファンヒーターの特性を考えると、その差は無視できません。

ワンシーズン使い続けた場合、最小火力運転だけでも約1,600円、最大火力で使う時間が多ければ4,000円以上もの差が電気代だけで生まれる計算になります 。

数年使えば、本体価格の差を回収できてしまうほどのインパクトがありますね。  

近年の電気料金高騰を考えると、コロナの低消費電力設計は、家計に直接響いてくる大きなメリットと言えるでしょう。

なぜこれほどの差が生まれるのか?その秘密は、両社の心臓部である「燃焼方式」の違いにあります。

すべての違いはここから!「燃焼方式」をチェック

コロナとダイニチの性格の違いは、すべてこの燃焼方式の違いから説明できます。

コロナ:「燃焼熱を再利用」して省エネを極めるポンプ噴霧式

コロナが採用するのは「ポンプ噴霧式」という方式です 。  

  1. 点火時: まずヒーターで気化筒という部品をしっかり温めます(電力消費大)。
  2. 燃焼時: 一度燃焼が始まれば、その燃焼熱を再利用して灯油を気化させ続けます(ヒートバックシステム) 。  
  3. 結果: 運転中は灯油を気化させるための電力がほとんど不要になり、ファンを回すだけの超低消費電力を実現します。

この方式のメリットは圧倒的な電気代の安さ

デメリットは、点火時に気化筒を温めるのに時間がかかるため、着火が遅い(通常約55~65秒)ことです 。  

ダイニチ:「常にヒーター」で速暖性を追求するブンゼン気化式

ダイニチが採用するのは「ブンゼン気化式」という方式です 。  

  1. 点火時: セラミックヒーターで灯油を瞬間的にガス化させて燃焼させます。
  2. 燃焼時: 安定した燃焼のために、運転中も常にヒーターに通電し続ける必要があります。
  3. 結果: 予熱なしでも約35~40秒という圧倒的な速さで着火できます。

この方式のメリットは業界トップクラスの着火スピード

デメリットは、常にヒーターを使うため、運転中の消費電力が高いことです。

つまり、「電気代と静音性のコロナ」と「速暖性のダイニチ」というキャラクターの違いは、この根本的な仕組みの違いから生まれているのです。

「速さ」「静かさ」「ニオイ」で比較

仕組みの違いが、実際の使い勝手にどう影響するのか、具体的な性能で比べてみましょう。

着火スピード:「速さ」のダイニチ、「ひと工夫」のコロナ

コロナ 通常点火は約65秒 。

この差を埋めるために「秒速点火」機能があり、これを使えば約7秒で点火できます 。

ただし、この機能はあらかじめONにしておく必要があり、予熱のために平均約80Wの電力を消費し続けるというトレードオフがあります 。  

常時秒速点火モード待機状態で使ってしまうと、コロナの魅力である電気代の安さという魅力が一気に失われます。

ダイニチ: 保温なしで約40秒

何も考えずにボタンを押すだけですぐに暖まりたい、というニーズに応えます。

運転音:「静かさ」のコロナ、少し賑やかなダイニチ

コロナ 最小運転時の運転音は20dB

これは木の葉のふれあう音レベルで、寝室で使っても気にならないほどの静かさです 。  

ダイニチ 最小運転時でも25dB

また、点火・消火時に「バン!」という機械的な作動音がすることがあり、これを少し大きく感じる方もいます。

消火時のニオイ:「ニオイの少なさ」ならダイニチ

石油ファンヒーターの宿命である消火時のニオイ。これは燃え残ったガスが原因です。

ダイニチ 
消火時に燃料ノズルを物理的にピシャリと閉じる仕組み(秒速消臭システムプレミアム)のため、ニオイの元を根本から断ちます

ニオイの少なさでは定評があります 。  

コロナ 
発生してしまった未燃焼ガスを、触媒で分解したり、シャッターを閉じて閉じ込めたりする複合的なアプローチ(プレミアム消臭「極」プラス)でニオイを抑えます 。  

消臭のレベルはグレードによって大きくことなります。

毎日のことだから重要!「使い勝手」と「保証」で比較

最後に、給油の手間やメンテナンス、保証といった長期的な視点で比較します。

給油の手間:タンク容量と燃焼時間

石油ファンヒーターで地味に面倒なのが給油ですよね。この点では、両社の思想の違いがまた見えてきます。

タンクはダイニチが大容量

ダイニチの9.0Lタンクは、コロナの7.2Lタンクより大きく、単純に給油回数が少なくて済みます 。(9Lタンク:SGX GR SL L SDXシリーズなどが該当)

ダイニチでも、一部のモデルでは小さめのタンクが採用されています。(KE KC NEシリーズなど)

18Lのポリタンクからちょうど2回で満タンにできるのも、ユーザー目線でよく考えられています 。  

では、このタンク容量の違いが、実際の燃焼時間にどれくらい影響するのでしょうか。満タンからの連続燃焼時間を比較してみましょう。

コロナ FH-WZ5725BY ダイニチ FW-5725SGX

コロナ (7.2L)ダイニチ (9.0L)
最大火力での燃焼時間約13.1時間 約16.2時間
最小火力での燃焼時間約92.6時間約75.0時間

この表から面白いことがわかります。

  • 最大火力でガンガン使うなら、タンクが大きいダイニチの方が約3時間長く持ちます。
  • 一方、室温が安定したあとの最小火力でトロトロ運転するなら、もともとの燃費が良いコロナの方が約17時間も長く燃え続けます。

ご自身の使い方で、どちらが給油の手間をより減らせるかが見えてきますね。

給油キャップ:
キャップの使いやすさも重要です。

コロナの給油キャップ


ダイニチの給油キャップ(例外あり)


両社とも手が汚れない工夫がされていて、コロナは「よごれま栓」 、ダイニチは「ワンタッチ汚れんキャップ」 と、どちらもユーザーからの評価は高いです。  

(キャプの外し方や形状はグレードによって異なります。)

メンテナンス性:フィルター掃除の手間

  • ダイニチ
    上位モデルには、レバーを上下させるだけでフィルターのホコリが取れる「かんたんフィルタークリーナー」が搭載されています。(SGX・GRのみ)
    週一回の掃除機がけが不要になるのは大きなメリットです。
  • コロナ
    従来通り、週に一度程度、掃除機でフィルターのホコリを吸い取る必要があります 。  

保証期間:安心感で選ぶならダイニチ

  • ダイニチ: 本体3年保証が標準で付いてきます。
  • コロナ: 基本的に1年保証です 。  

長く使うことを考えると、この保証期間の差は安心感に大きく影響しますね。

【要注意】シリコーン製品はファンヒーターの天敵!

これは両メーカーに共通する非常に重要な注意点です。

ヘアケア製品や化粧品、柔軟剤などに含まれるシリコーンが空気中に飛散し、ファンヒーターが吸い込むと、内部のセンサーに付着して故障の原因となります 。  

このシリコーンが原因の故障は、保証期間内であっても有償修理となるため、ファンヒーターを使う部屋ではこれらの製品の使用を控えることを強くお勧めします 。  

まとめ:あなたに合うのはどっち?最終結論

さて、ここまで様々な角度から比較してきましたが、結局どちらを選べばいいのでしょうか。あなたの価値観に合わせて、最適な一台を提案します。

比較項目コロナダイニチ
ランニングコスト◎(電気代が安い)△(電気代が高い)
着火スピード△(遅い)◎(速い)
静音性◎(特に弱運転時)
消火時のニオイ◎(少ない)
給油・手入れの手間◎(タンク大・フィルター掃除楽)
保証期間△(1年)◎(3年)

こんなあなたには「コロナ」がおすすめ!

  • とにかくランニングコストを抑えたい
  • 寝室など、静かな場所で使いたい
  • 着火まで1分くらい待つのは苦にならない

長時間つけっぱなしにすることが多いなら、電気代の安さがじわじわと効いてきます。静かで穏やかな暖かさを求める方には最適です。

こんなあなたには「ダイニチ」がおすすめ!

  • 寒いのが大嫌い!1秒でも早く暖まりたい
  • 給油やフィルター掃除の手間は少しでも減らしたい
  • 長期保証による安心感が欲しい

着火の速さは、一度体験すると手放せなくなるほどの快適さです。

日々の使い勝手や手軽さを重視するなら、ダイニチが有力候補になるでしょう。

どちらのメーカーも日本の厳しい冬を支えてきたトップブランドです。ご自身のライフスタイルと「何を一番重視するか」を照らし合わせて、後悔のない一台を選んでくださいね。

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