エアコンの能力の見方をさらに詳しく解説!
暖房のパワーの違いはどこでわかる?
エアコンの選び方第2弾です。
前回は基本中の基本である能力表の見方、対応畳数の見方をお話しました。
今回はその中でも特に悩みの多い暖房部分について詳しく解説したいと思います。
実は暖房もエアコンで賄う方が年々増えてきています。
理由としては・・
▶︎灯油代の値上がりと買いに良く手間
▶︎新築住宅で灯油使用の制限がある
▶︎性能の向上により、エアコンでも十分に暖かい
こんなことなどがあげられます。
では、エアコンの暖房機能をしっかり活用したい場合どんなことに注意したらいいのでしょうか?
注意するべきポイントを順番に紹介していきたいと思います。
前回 エアコンの基礎とおすすめ品
【本当にお得?】誤解だらけのエアコン選び!正しく知ってお得に選ぶ お部屋別おすすめ品紹介
メーカー比較はこちら
【メーカー比較】エアコン選び!我が家にぴったりの機種はどれ?前編
冷房よりも暖房のほうが効きが悪い
これは思い当たる方も多いのではないかと思います。
エアコンは冷房よりも暖房のほうが効きづらいものです。実際の能力をみてみると・・
例 パナソニック
CS-X282D
冷房 8〜12畳
2.8(0.4〜4.5)kW
暖房 8〜10畳
3.6(0.3〜7.1)kW
低温暖房能力5.6kW
戸建て住宅の場合の対応畳数の目安は冷房・暖房ともに8畳となっています。
ところが、鉄筋コンクリートの畳数の目安は、冷房は12畳・暖房は10畳の対応となっています。
このように暖房は冷房よりも効きが悪いんですね。
ですから、前回の記事にも書いたように・・
暖房を利用する・しないはエアコン購入前に決めておいたほうがいいんです。
でないと、いざ暖房運転したときに”がっかり”してしまう結果になってしまうかもしれません。
何で冷房はいいのに暖房は効かないの?
冷房よりも暖房のほうが効きが悪いのはなんとなく分かっていただけたと思いますが、どうしてこんなことになるのでしょう?
ここが大事なポイントです。もう一度能力表を見てみましょう。
赤枠で囲った部分が重要な部分で、外気温が2度のときに出せる能力(パワー)です。
低外気温時能力なんていわれたりもします。
このエアコンの暖房最大能力は通常時7.1kWあるのに対して、外気温が低いとき(2℃)の時には5.6kWしか力を発揮できないのです。
つまり、外気温が低いと大体MAXの7割程度のパワーしか発揮できないということになります。
エアコンはヒートポンプという仕組みを使い冷房したり、暖房したりします。
すごく大まかに説明すると、エアコンは空気中から熱を取り出して冷暖房を行う仕組みなんですね。
ですから、もともとの空気に熱があまり無い(外が寒い)と、熱を取り出せる量が減ってしまうので暖房能力が落ちてしまうということです。
別に仕組みを覚えてもらう必要は無いんですが、
”暖房のパワーは外が寒いほど落ちるので、ゆとりを持ったサイズを選びましょう”
これが言いたかったんです。
同じ対応畳数のエアコンでも機種によってパワーがぜんぜん違う
エアコンには2.8kw(主に10畳用)とか4.0kw(主に14畳用)などさまざまなサイズがあります。
それでですね、たとえば同じ2.8kwのエアコンであればどれでも同じパワーが発揮できるかというと、そういうわけではないんです。
これも例をいくつか見てみましょう。
パナソニック
CS-281DFR(主に10畳用)
パナソニックの一番手頃な価格のグレードです。
能力はこのようになっています。
▶︎冷房能力2.8(0.5〜3.2)kw
▶︎暖房能力3.6(0.4〜4.8)kw
▶︎低温暖房能力3.5kw
カッコ内の0.5~3.2や0.4~4.8というのはそのエアコンの運転の幅です。
左の数字が小さいほど弱く運転可能で、右の数字が大きいほど最大パワーが強いということになります。
ちなみにこちらのエアコンの省エネラベルは
このようになっており、5段階中2点の省エネ性能です。
ポイント
実は省エネ性能が星1つのモデルは、省エネ基準未達成で発売できません。
つまりこのモデルは星2つでありながら、実質の最低ラインの省エネ性能ということになります。
これだけ見てもしょうがないので先ほどの暖房が得意な機種と比べてみましょう。
パナソニック
CS-X282D(主に10畳用)
最初に登場したのと同じ機種で、パナソニックを代表する省エネタイプXシリーズです。
大事な部分を抜き出して比べてみると・・
CS-281DFR |
CS-X282D |
|
冷房最小 |
0.5 |
0.4 |
冷房最大 |
3.2 |
4.2 |
暖房最小 |
0.4 |
0.3 |
暖房最大 |
4.8 |
7.1 |
低温暖房能力 |
3.5 |
5.6 |
このようになり、同じ10畳用でもCS-X282Dのほうが・・
冷暖房共に最大パワーが高いことがわかります。
ここで言うkwは冷暖房の能力のことであって、電気代のことではないです。
単純に数字が大きいほど効きがいいと考えてOKです。
低外気温時の暖房能力で見ると、約1.6倍もXシリーズの方がパワーがあるということになります。
エアコン能力のkwは
▶︎冷房で有ればどれだけの熱を廃熱できるか
▶︎暖房であればどれだけの熱を得ることが出来るのか
これを数値化したものです。
カロリーといったらちょっと分かりやすいかも知れないですね。
冷房の場合はカロリー消費能力。暖房の場合は摂取カロリーがkwという数字で表されていると思って頂くと良いかもしれません。
カロリーを消費する能力の最大値が高いほど涼しくなりやすく、カロリーを摂取する能力が高いほど暖かくなりやすいイメージです。
CS-X282Dの省エネラベルはこちらです。
満点5星の省エネ性能です。
パワーは有るのに電気代も安いんですね。
なぜなのかは後ほどご説明します。
最後に参考までに2サイズ小さな6畳用のXシリーズの能力も見てみましょう。
パナソニック
CS-X222D(主に6畳用)
ラインナップの中で一番小さい6畳用のタイプです。
これまで見てきた10畳用の機種から数えて、2サイズダウンしています。
では、またしてもお手頃価格モデルのCS-281DFRと比べてみましょう。
CS-281DFR (10畳) |
CS-X222D (6畳) |
|
冷房最小 | 0.5kw | 0.4kw |
冷房最大 | 3.2kw | 3.6kw |
暖房最小 | 0.4kw | 0.3kw |
暖房最大 | 4.8kw | 5.7kw |
低外気温時能力 | 3.5kw | 4.5kw |
CS-281DFRよりも2サイズ小さいにもかかわらず、CS-X222Dのほうが実はパワーがあることがわかりますね。
特に暖房時はCS-X222Dの方がだいぶ有利な結果となっています。
これまで登場した3機種の低外気温時暖房能力だけを比べてみると・・
1位CS-X289C
(主に10畳省エネ型) 5.6kw
2位 CS-X229C
(主に6畳省エネ型) 4.5kw
3位 CS-289CFR
(主に10畳スタンダード型) 3.5kw
こうなります。
つまり、お手頃機種の10畳用暖房<得意な省エネ機種の6畳用より暖房のパワー
となるわけです。
ただサイズだけ大きくすれば、冷暖房のパワーがアップするとは限らないというわけなんです。
このように畳数の部分だけを見てエアコンを購入すると、特に暖房のときにパワーが足りないという事態になってしまう恐れがあります。
暖房が得意な機種と苦手な機種があることが分かっていただけたでしょうか?
どうしてパワーのある機種の方が電気代が安いの?
これまでの説明の中でこう疑問に思った方いませんでしたか?
「パワーがある機種の方が電気代も高いんじゃないの?」
そう思った方は鋭いですね。でも残念ながら逆なんです。
エアコンはハイパワーが出せる機種=省エネです。
理由をご説明します。
皆さんご存知のようにエアコンは室内機と室外機2つがセットになっています。
これを簡単に説明しますと、室外機で冷気や熱気を作り室内へと運んでいます。
このときに室外機で作った冷気や熱気を取り出すときの器の大きさがパワーと電気代に関係します。
省エネ性能が低いエアコンの室外機は冷気・熱気のを受け取る器が小さいためたくさんの冷気・熱気をこぼしてしまいます。
せっかく室外機が頑張って冷気・熱気を作っても充分に室内まで運ぶことが出来ないんですね。ですからパワーも出せませんし、無駄が多くなり電気代が高くなってしまうんです。
逆に省エネ性の高いエアコンはこの冷気・熱気の受け皿が大きく、ほとんどこぼさずに室内に運ぶことが出来ます。
ですからパワーも出せますし、無駄が少なく電気代が安くなるんです。
その代わり、その大きな受け皿の値段が高いため、エアコン自体の価格も省エネタイプの方が高くなります。
暖房の場合も同様です。受け皿が大きければそれだけ無駄なく熱気を室内に運べますので、パワーが出てしかも省エネということになります。
そして暖房時、特に外の気温が低いときにはその差はさらに顕著になります。
これがハイパワーな機種が電気代も安い理由です。
どうやって見分けたら良いの?
見分け方は意外と簡単です。先ほどから何度か登場している省エネ性マーク。
この星の数をチェックすればOKです。
大まかな目安しては
星4つか5つ→暖房得意(省エネ&ハイパワー)
星3つ→暖房はちょっと使う分には(準省エネ&ミドルパワー)
星2つ→暖房は苦手(省エネ基準ぎりぎり達成)
星1つ→省エネ基準未達成のため発売できません
と、なります。
大きな対応畳数(サイズ)の場合は超省エネ&ハイパワー機種でも星が3つの場合もありますので、あくまで目安です。
実際のオススメ機種は?
これまで長々とエアコンの暖房についてお話してきましたが、正直ピンと来ない方も多いですよね?
説明長いし、見慣れない数字とか数値ですからね・・・
基本的には超省エネモデルであれば暖房も得意ということになります。
各メーカーの超省エネ機種ががどんな特徴なのか、選ぶ基準はどんなところかは以下の記事で解説しています。
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【メーカー比較】エアコン選び!我が家にぴったりの機種はどれ?前編
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【メーカー比較】エアコン選び!我が家にぴったりの機種はどれ?後編
まとめ
暖房として使うエアコンの選びからのポイントをおさらいしましょう。
▶︎主に○○畳はそのまま信じていいとは限りません
▶︎冷房よりも暖房の方が効きにくいです
▶︎省エネモデルほどパワーがあります
▶︎省エネラベルの星が多い物を選べばOK
▶︎オススメは富士通Xと三菱Zシリーズ
エアコンの真の本番は冬です。冬が一番安く買えますからね。
というわけで、冬に向けて暖房に強いエアコンの選び方でした。
参考になりましたでしょうか?それではまた。