
この記事を書いた人: 「白物家電ブログ)」管理人
家電量販店での商品案内歴約20年(現役)。
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家電を買って試したり、データや仕組みに基づいて深堀りして考えるのが好きです。
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エアコンコーナーで商品案内に入ると、お客様からこんな風におっしゃることがあります。
お客様「今がエアコン一番安い時期ってきいたから、見に来たんだ!」
残念なことに、ほとんどの場合はベストなタイミングではないので、私は少し気まずい気持ちになります。
一番多いのは、「9月の決算セールにエアコンが安くなるって聞いたよ」というケースですかね。
・・・(いやぁ、そのグレードだと、一番値段が下がるのは春頃なんだけどなぁ・・)。
なんてことがちょいちょいあります。
お客様が一番安い時期を間違って認識してしまうのも無理はありません。
テレビやネット、最近ではAIまでもが「エアコンの安い時期」について教えてくれます。
ただ、それらの情報は決して間違いではないものの、断片的だったり、少しズレていたりすることが多いんです。
その結果、ちょっとした情報の齟齬が生まれてしまいます。
そこでこの記事では、そのへんのモヤモヤを全部解消できるよう、家電店員である私が、エアコンの「本当の買い時」について、裏側の理屈まで含めてきっちりお伝えして行きたいと思います。
- 【結論】エアコンの買い時は「秋~冬」と「冬~春」の2回だけ!
- なぜその時期が安いのか?モデルチェンジの裏側を解説
- 【上級編】安い時期の中で「いつ動くべきか」というタイミングの話
- ネットでよく見る「安い時期」情報のホントとウソ
目次
【結論】エアコンの買い時は「秋~冬」と「冬~春」の2回!
いきなり結論から言います。
エアコンが本当に安くなる時期は、グレードによって異なります。
⚠エアコンの機種や販売店は非常に数多く、例外も多数出てくることをご承知おきください。
① 高性能な「上位モデル」が欲しいなら【10月~1月】が狙い目!
ダイキンのグレードに基づく例
シリーズ名 | 買い時 |
Rシリーズ | 10月~1月 |
Aシリーズ | 10月~1月 |
Fシリーズ | 1月~3月 |
Cシリーズ | 1月~3月 |
Eシリーズ | 1月~3月 |
▼寒冷地モデル | |
Dシリーズ | 10月~1月 |
H(HX)シリーズ | 10月~1月 |
Kシリーズ | 10月~1月 |
省エネ性能や快適機能がてんこ盛りのハイグレードなエアコン。
例えば、ダイキンの最上位モデルである「うるさらX(Rシリーズ)」のような機種が欲しいなら、狙うべきは秋から冬にかけてです。
この時期は、10月~11月頃に発売された新モデルと、性能がほとんど変わらない旧モデルがお店に一緒に並んでいるタイミングです 。
お店としては、旧モデルの在庫を早く売り切りたいので、年末年始のセールにかけて一年で最も大きな値引きが期待できます 。
最新の中級モデルと同じくらいの値段で、ワンランク上の快適な旧モデルが手に入る、なんてことも珍しくない、まさに上位モデルを狙うための狙い目の時期です。
メーカーによってばらつきはありますが、大体10~11月くらいには該当年のモデルの入荷が終わります。
2025年モデルの上位グレードは、2025年の10月とか11月頃から在庫限りの売りつくしに入るという格好です。
ちょっとわかりにくいと思うので、ダイキンのDシリーズの場合で例を挙げます。
ダイキン 寒冷地仕様 Dシリーズの2025年年モデル
発売は2024年の11月
↓
入荷終了は2025年の10月頃
↓
以降は在庫売りつくし状態へ
ただ、エアコンは他の家電、例えば冷蔵庫や洗濯機・テレビなどよりも、在庫がなくなるまでに長い期間を要することが多いです。
入荷が終了したからと言って、すぐに売り切れるというケースはそんなにありません。

年末・年始くらいまでは待っても大丈夫なことが多いです。
② とにかく安い「普及モデル」が欲しいなら【1月~3月】が狙い目
「機能はシンプルでいいから、とにかく安く買いたい!」という方。
狙うべきは、冬の終わりから春先です。
寝室や子供部屋にぴったりの基本的な機能のモデル(例えばダイキンのEシリーズなど)は、春(2月~4月頃)に新モデルが発売されることが多いです 。
そのため、1月の年末年始セールあたりから旧モデルの在庫処分が始まり、2月~3月の決算セールで価格が底値になります 。
新生活シーズンとも重なり、お店も一番売りたい時期なので、価格交渉がしやすいのもこの時期の特徴です。
ネットやテレビの情報で
「エアコンは秋の決算セールに買うと安い」みたいに言ってたりしますよね。
エントリー~ミドルグレードは春頃の発売ですから、秋の決算期の時点では発売から半年経過程度です。
ある程度価格は落ち着いていますし、決算でのセールというのもあったりするわけですが、最安を目指すタイミングとしては微妙です。
なぜ「秋」と「春」なのか?モデルチェンジの裏側を解説
なぜ買い時が2つに分かれるのか、その理由はメーカーの「モデルチェンジ」の戦略にあります。
エアコンの価格が一番安くなるのは、新しいモデルが出ることによって古いモデルになる「型落ち」のタイミングです 。
お店としては、新しいモデルを置くスペースを確保したいので、古いモデルを早く売り切るために値段をグッと下げる、というわけです。
そして、このモデルチェンジの時期が、エアコンのグレードによって違うんです。
- 上位モデル(各社の看板商品)
- 秋(10月~11月頃)にモデルチェンジ 。
- 理由:冬の暖房性能の高さをアピールし、冬のボーナス商戦に間に合わせるため。
- だから、新モデルと旧モデルが併売される10月~1月が安くなる。
- 普及モデル(一番売れる価格帯)
- 春(2月~4月頃)にモデルチェンジ 。
- 理由:夏の需要期に向けて、新生活シーズンに合わせて投入するため。
- だから、その直前の1月~3月が安くなる。
この理屈さえ分かっていれば、「〇〇セールだから安いかも?」と曖昧な情報に惑わされずに済みますね。

すごくざっくり言えば、必要度合いが高い時期に価格が高くなるようにスケジュールされています。
【上級編】安い時期の中で「いつ動くべきか」というタイミングの話
「じゃあ、安い時期が始まったら、ギリギリまで待った方がもっと安くなるの?」と思いますよね。
ここが一番難しいところで、もう少し詳しく解説します。
欲しいモデルが決まっているなら「早め」が鉄則!
もしあなたが「ダイキンのうるさらXの14畳が欲しい!」というように、具体的なモデルや購入するお店を決めているなら、安い時期が始まったら早めに動くのが正解です。
なぜなら、在庫がなくなったら終わりだから。
特に人気のモデルやリビング用の大きいサイズは、みんなが狙っています。
のんびり待っているうちにライバルに買われてしまい、「あっちの店にはもう在庫がないらしい」という状況になると、お店側も強気になって値段が下がりにくくなります。
特にこだわりがないなら「待ち」もアリ
逆に、「メーカーや機種にこだわりはないから、とにかく安いやつが欲しい」という場合は、安い時期の終わり際まで待ってみるのも一つの手です。
3月の決算セール最終週などに、本当に売り切りたい不人気モデルや、ちょっと特殊なサイズのエアコンが「後ちょっとだけ残っている」なんてことがあります。
そういう商品は、驚くような価格で手に入れられる可能性があります。
ただし、選べる機種は少なくなっている、という博打要素がやや入ります。
「待てば安くなる」は半分ホントで半分ウソ
家電の価格って、実は一方的に下がり続けるわけじゃないんです。
一番安くなりやすいのは、ライバル店同士が「ウチの方が安くしてでも売り切ってやる!」と競争している時期。これが「売りつくしの旬」です。
でも、その競争が落ち着いてしまうと、値下げ合戦も止まってしまいます。
それどころか、周りにライバルがいなくなると、値下げが起こりにくくなることさえあります。
例えば、「1月の初売りセールの目玉価格が、結局3月の決算期より安かった…」なんてことは日常茶飯事です。
家電の価格は本当に生き物なので、「時間が経てば必ず安くなる」とは思わず、自分が納得できる価格になったら決断するのが大切ですよ。
ネットでよく見る「安い時期」情報のホントとウソ
この理屈を踏まえて、ネットでよく見る情報を仕分けしてみましょう。
- 「決算セール(3月・9月)は安い」
- → 3月は本当、9月はまあまあ、というのが正直なところです。3月は「普及モデル」の型落ち時期と重なるので本当に安いです 。
- 「夏(6月~8月)は絶対に買っちゃダメ」
- → これは本当です。価格は高いし、工事は1ヶ月待ちなんてことも 。サービスの質も落ちるので、良いことが一つもありません 。

時々、「夏にエアコンのセールのCMをよく見かけるから、夏が安いと思っていた」というお客さんがいたりしますが、それはかきいれ時だから多くの宣伝や集客イベントを打ってるだけです
まとめ:あなたのベストな買い時はこれだ!
さて、まとめです。あなたのエアコン購入計画は、もう迷うことはありません。
- 高性能なモデルで快適な暮らしを手に入れたい!
- → 10月~1月に、型落ちになる上位モデルを狙いましょう。欲しい機種が決まっているなら、早めの行動が吉です。
- 機能はそこそこでOK!とにかく初期費用を抑えたい!
- → 1月~3月に、型落ちになる普及モデルを狙いましょう。こちらも在庫が豊富なうちに動くのがおすすめです。
- 真夏にエアコンが壊れてしまった…
- → 価格よりも**「一番早く工事してくれるお店」**を探すのが最優先です。後悔しないためにも、壊れる前の計画的な買い替えが一番ですね。
エアコンは10年以上付き合うことになる家電です 。
目先のセール情報に惑わされず、ご自身の欲しいグレードを見極めて、最適なタイミングで賢く購入してくださいね。この記事が、そのための参考になれば嬉しいです。