暖房器具

【速暖系】カーボン・グラファイト・シーズヒーターの違いと選び方のポイント

 

この記事を書いた人: 「白物家電ブログ)」管理人

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冬が近づくと、家電売り場のヒーターコーナーは、なんだか賑やかになりますよね。

皆さん、この3種類のヒーターの前で立ち止まって、一度は悩んだ経験、ありませんか?

  • 「グラファイトヒーターって、0.2秒で暖かくなるんでしょ?」

  • 「カーボンヒーターって、安くて手軽なイメージ」

  • 「シーズヒーターは、なんか体の芯から暖まるって聞くけど…値段も高いよね?」

こんな風に、ざっくりとしたイメージはあっても、「で、結局どれがいいの?」って、なっちゃいますよね?

「なぜシーズヒーターだけ、こんなに価格差があるんだろう?」とか、「『体の芯から』って、結局どういうこと?」なんて疑問が湧いてくるんじゃないでしょうか。

この記事では、暖まる速さや価格だけでなく、ヒーターの「仕組みと理屈」を踏まえつつ、各種の違いを深掘りしていきます。

 

1. まず結論
3つのヒーター比較早見表

まずは、3種類のヒーターのポイントをまとめた比較表から見ていきましょう。

項目 カーボンヒーター グラファイトヒーター シーズヒーター
暖まる速さ 速い(数秒) 最速(0.2秒) 遅い(数分)
本体価格 安い(5千円~) やや高い(1万円~) 高い(2万円~)
得意な暖め方 表面を素早く 表面を超高速で 体の芯からじんわり
発熱体の耐久性 △ 標準的 △ 標準的 ◎ 非常に高い
運転中の眩しさ 〇 やや明るい 〇 やや明るい ◎ 控えめ
適した利用シーン デスク下、パーソナル 脱衣所など短時間 リビング、長時間利用

 

2. 基本的な特徴をおさらい

まずは、それぞれのヒーターがどんなものなのか、基本的なところからおさらいしていきましょう。

2-1. カーボンヒーターとは?
安さと速さのバランスタイプ

カーボンヒーターは、その名の通り「炭素繊維(カーボン)」を発熱体に使ったヒーターです。

特徴は、なんといっても手頃な価格と、電源を入れて数秒で暖かくなる速さのバランスの良さ。

スイッチを入れた瞬間からじんわりと暖かさを感じられるので、「朝の冷え込んだキッチンでちょっと使いたい」「デスクの下で足元だけ温めたい」なんてパーソナルな使い方にぴったりです。

一昔前の電熱線ヒーターとは比べ物にならないくらい、パッと暖かさを感じられるので、多くのシーンで「これで十分早い!」と感じるはずですよ。

 

2-2. グラファイトヒーターとは?
まさに“付けた瞬間”の最速暖房

グラファイトヒーターは、カーボンヒーターと同じく炭素系の素材を使っていますが、その構造を工夫することで「0.2秒」という驚異的な速暖性を実現しています。

これはもう、まさに「付けた瞬間」に暖かい!という感じでです。

特に、服を脱ぐ洗面所や脱衣所、朝の忙しい時間帯など、「今すぐ暖かさが欲しい!」という場面では、このスピードは大きなメリットになります。

「0.2秒なんて誤差でしょ?」と思うかもしれませんが、体感としてもしっかり「速い!」と感じられるはずですよ。

 

2-3. シーズヒーターとは?
じっくり高品質な暖かさのパワータイプ

シーズヒーターは、他の2つとは少し構造が異なり、ニクロム線などの発熱体を金属の管(シース)で保護したタイプです。

最大の特性は、遠赤外線の放出量が多いこと。

これにより、「体の芯からじんわり暖まる」という独特の温かさを実現しています。

電源を入れてから暖かさを感じるまで数分かかる、という弱点はありますが、一度暖まるとその心地よさはカーボンヒーター、グラファイトヒーターとは別物です。

まるで日向の中にいるような、柔らかな暖かさが持続します。

「すぐに暖まらなくても、その後の快適さを重視したい」という方には、ぜひ知ってほしいヒーターです。

 

3.【深掘り解説】価格と性能の「本当の理由」

ここからは、「なぜ、こんなに違うの?」という疑問に「仕組みと理屈」に沿って考えていきます。

 

3-1. 理由①:「体の芯から」は本当?赤外線の“質”の違い

「体の芯から暖まる」というシーズヒーターの謳い文句、なんだか漠然としていませんか?

実はこれ、放出される「赤外線の波長」の違いが大きく関係しているんです。

  • シーズヒーター ➡️ 「遠赤外線」寄り

    • 遠赤外線は、波長が長く、皮膚の表面だけでなく、体の奥深くまで浸透して分子を振動させ、内側から熱を発生させる特性があります。だから、「体の芯からじんわり暖まる」と感じやすいんですね。

  • カーボン・グラファイトヒーター ➡️ 「近赤外線」寄り

    • 近赤外線は、波長が短く、主に皮膚の表面で熱に変わります

    • そのため、付けた瞬間から「熱い!」と感じやすいのですが、体の奥まで浸透する感覚は遠赤外線に比べると控えめです。

それぞれのヒーターが持つ、本来の主要な特性は以上のようになります。

この波長の違いこそが、暖かさの「質」の差を生む、科学的な理屈なんです。

→実際の製品では複合的に採用されている場合も

最近の製品では、従来のシンプルな分類(カーボン=近赤外線、シーズ=遠赤外線)に当てはまらない、「遠赤外線を多く放出するカーボンヒーター」や「中赤外線」を謳う製品も増えています。

例えば、アラジンのグラファイトヒーターでは中赤外線が採用されています。

これは、各メーカーが素材や構造に独自の工夫を凝らし、それぞれのヒーターのメリットを複合させようとしているためです。

 

3-2. 理由②:なぜシーズヒーターは高い?発熱体自体の“耐久性”

シーズヒーターが比較的高価な理由の一つに、発熱体そのものの「耐久性」の高さがあります。

イメージしてみてください。

  • カーボン・グラファイトヒーターの発熱体

    • 細い炭素繊維がむき出し、あるいは薄い石英管などで保護されているだけ。

    • 物理的な衝撃には比較的デリケートです。

  • シーズヒーターの発熱体

    • ニクロム線などの発熱体が、頑丈な金属のパイプ(シース)で完全に密封・保護されています。

    • そのため、物理的な衝撃や振動にも非常に強く、発熱体自体の寿命が長いという特性があります。

この頑丈な構造こそが、シーズヒーターの製造コストを高め、価格に反映されている大きな要因の一つなんです。

 

参考

注意点 

この「耐久性が高い」というのは、あくまで「発熱体そのもの」の話です。

ヒーター本体のプラスチック部品や電子基板、スイッチ類などの耐久性は、他のヒーターと大きく変わらないことがほとんどです。

 

製品の寿命的な面で言えば、特にシーズヒーターが長持ちみたいなことではないです
寿命はどれも同じくらいっていうところですかね

 

3-3. 理由③:“使用感”の違い(運転中の眩しさ)

カタログのスペック表にはなかなか載っていませんが、実際に使うと気になるかもしれないものとしてヒーターの「」があります。

  • カーボン・グラファイトヒーター

    • 暖かさとともに、オレンジ色の光が比較的明るく輝きます。これは、発熱体が高温になることで光を放つためです。

  • シーズヒーター

    • 発熱体が金属管で保護されているため、光が外部に漏れにくく、ぼんやりと赤く光る程度。他の2つに比べて、運転中の眩しさが非常に控えめです。

「寝室で使いたい」「部屋の明るさに敏感な方」にとっては、この光の眩しさは意外と重要なポイントになります。「眩しすぎて集中できない!」なんてことになったら、元も子もないですからね。

 

3-4. 理由④:「0.2秒」の速さは“実用的”か?

グラファイトヒーターの「0.2秒」という速暖性は驚異的ですよね。

これは、脱衣所や朝の身支度など、「今、この瞬間だけ、とにかく最速で暖まりたい!」という場面では、非常に大きなメリットになります。

私もアラジンのグラファイトヒーターを使っていますが、布団から出た時の寒さ対策として重宝しています。
やっぱり、すぐに暖かいというのはありがたいですね。

スイッチを入れた瞬間に、顔や体に直接暖かさを感じられるのは、やはりインパクトがありますし、その速さに価値を見出す方はたくさんいらっしゃいます。

一方で、カーボンヒーターの「数秒」という速さも、決して遅いわけではありません。

多くのシーンで「十分早い」と感じるはずです。この0.2秒と数秒の差をどう捉えるかは、あなたの「どれだけ瞬間的な暖かさを求めるか」というニーズによって、価値が変わってくる、ということですね。

 

4. 結論:あなたに最適なヒーターはどれ?利用シーン別おすすめ

ここまで解説したことを踏まえて、あなたのライフスタイルに最適なヒーターを選んでみましょう。

 

こんな人には「グラファイトヒーター」がおすすめ

  • 脱衣所や朝の身支度など、ごく短時間だけ、とにかく最速で暖まりたい人。

  • 「付けた瞬間暖かい」という体感に、特に価値を感じる人。

  • パーソナルな空間で、瞬時に暖かさを独り占めしたい人。

 

こんな人には「カーボンヒーター」がおすすめ

  • デスクワークの足元など、コスパ良くパーソナルな暖かさが欲しい人。

  • 十分な速暖性があれば満足でき、予算を抑えたい人。

  • とりあえず手軽に試したい、複数台欲しいという人。

 

こんな人には「シーズヒーター」がおすすめ

  • リビングなど、広めの空間で長時間使うことを想定している人。

  • 「体の芯からじんわりと暖まる」という、質の高い暖かさを求める人。

  • 運転中の光が眩しいのが苦手で、控えめな暖房を好む人。

  • 一つの暖房器具を大切に、故障しにくいもので長く使いたい人。


いかがでしたでしょうか?

ヒーター選びは、単なるスペック比較だけでなく、あなたの「どんな時に、どんな暖かさを、どれくらいの期間使いたいか」というライフスタイルによって、最適な一台が変わってきます。

この記事で解説した「仕組みと理屈」が、あなたが後悔しないヒーター選びの参考になれば幸いです。

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